P-V-58
発作性心房頻拍と房室結節回帰性頻拍を合併した 2 例
水戸赤十字病院1),帝京大学医学部附属病院小児科2),銀座医院3)
豊田彰史1),萩原教文2),舟木尚美2),伊達正恒2),徳田宇弘3),柳川幸重2)

narrow QRS tachycardiaで,long RP'および short RP'の 2 種類の頻拍発作を繰り返し,薬物療法に苦慮し,心臓電気生理学的検査(以下EPS)にて,long RP'は心房頻拍(以下AT),short RP'は通常型房室結節回帰性頻拍(以下AVNRT)と診断,高周波カテーテル心筋焼灼術(以下ABL)にて根治治療した 2 症例を経験したので報告する.【症例 1】9 歳女児.既往歴・家族歴;特記すべき事なし.現病歴;2 歳時より動悸発作が出現,年齢の上昇に伴い,頻度および持続時間の増加傾向を認め,8 歳時に近医にて頻拍発作と診断され,精査・治療目的にて当院へ紹介となった.経過;ベラパミル,プロプラノロールの内服療法にて,症状の緩和を認めたが,内服に伴う悪心,易疲労感が出現し,さらに怠薬に伴う頻拍発作も認めたため,EPSおよびABLを施行した.【症例 2】12歳女児.既往歴・家族歴;特記すべき事なし.現病歴;8 歳時より動悸発作が出現,近医にて発作性上室性頻拍症と診断,プロプラノロールの内服療法を試みるも頻拍発作を繰り返すため,当院へ紹介となった.経過;頻拍発作予防に,ベラパミル,プロプラノロール,ジソピラミドによる内服療法を試みるも,頻拍発作を繰り返したため,EPSおよびABLを施行した.【EPS,ABL】long RP'の頻拍は,ISP下の高位右房のプログラム刺激にて誘発可能で,頻拍中の最早期の心房波の場所は,症例 1 では右房自由壁,症例 2 では右房冠静脈洞入口部近傍で認め,両症例とも右房起源のATと診断した.また,両症例ともshort RP'の頻拍は,ISP下の高位右房のプログラム刺激にて誘発・停止が可能で,頻拍中の最早期の心房波の場所はHis束で認め,AVNRTと診断した.両頻拍発作に対してABLを施行し,いずれの頻拍発作も誘発不能となった.

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