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P-V-61 |
新生児期に発症した特発性左室起源性心室頻拍(ILVT)の 1 例 |
岩手医科大学附属循環器医療センター小児科1),岩手医科大学附属循環器医療センター循環器内科2),岩手医科大学医学部小児科学講座3)
高橋 信1),佐藤陽子3),小山耕太郎1),籏 義仁2),千田勝一3) |
【はじめに】ILVTは左脚後枝側プルキンエ線維近傍のリエントリを発生機序とし,右脚ブロックに左軸偏位を伴うwide QRS tachycardiaの心電図所見を呈する.ILVTの新生児期発症は稀であり,新生児期治療の方針は明確にされていない.ILVTの薬物治療はCaチャネル拮抗薬であるベラパミルが第一選択とされているが,新生児期には副作用の発現頻度が高く禁忌とされている.近年,ILVTのリエントリ回路においてCaチャネル以外にNaチャネルも関与していることが報告されILVTの薬物選択が拡大した.今回我々は,生後10日発症の基礎心疾患のないILVTの男児に対し,Naチャネル抑制薬であるジソピラミドを使用し明らかな副作用の出現なく治療効果が得られたので報告する.【症例】母体既往歴および分娩歴に特記事項なく満期産で出生.生後10日心拍数230/min,右脚ブロックに左軸偏位を伴うwide QRS tachycardiaを認め入院.QRS後にP波を認めATPでV-A conductionの抑制を確認したが,QRSの波形には変化はなくジソピラミドを使用しVTは消失した.心エコー,MRI上基礎心疾患は否定的でILVTと診断した.生後37日同様のILVT出現.リドカインに反応せず,ジソピラミドでVTは消失した.心房性期外収縮がVTに先行しているのを確認した.【まとめ】新生児期発症のILVTに対しジソピラミドが著効した.ILVTのリエントリ回路にNaチャネルが関与していることを示唆するが,Ib群のリドカインには効果を認めなかった. |
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