P-V-62 |
発熱を契機に発見されたVT症例の検討 |
あいち小児保健医療総合センター1),名古屋大学小児科2),長谷川こどもクリニック3)
小島奈美子1),長嶋正実1),安田東始哲2),長谷川誠一3) |
【はじめに】小児の運動誘発性VTは多数報告されているが,今回我々は発熱を契機に発見された,発熱誘発性のVTを 3 例経験したので,その心電図所見や薬剤有効性などの特徴をまとめ報告する.【対象】(1)4 歳男児,(2)12歳女児,(3)25歳男性,発見時年齢はそれぞれ 4,4,14歳,いずれも発熱時の頻脈発作で発見され,症例(3)は発熱時失神発作を認めた.3 例とも器質的心疾患を含めて基礎疾患はなかった.【安静時心電図】いずれも洞調律で正常範囲内であった.【ホルター心電図】症例(1)ではVPCの頻発および心拍数150bpm前後の反復性持続性VTを認めたが,残りの 2 例は発熱時以外心室不整脈を認めなかった.【発作時心電図】(1)正軸,RBBB,HR 180~210,(2)LAD,RBBB,HR 180~230,(3)LAD,RBBB,HR 150~225の持続性VTであった.【運動負荷心電図】いずれもVPCおよびVTは誘発されなかった.【治療および予後】3 例とも発作時にはpropranololとverapamilの静注が有効であった.しかし,死亡例はなかったものの,propranololやverapamilの予防投薬を行っても発熱時にはVT発作が出現した.【結語】小児期の基礎疾患のない心室頻拍不整脈は,軽快または消失例が多く長期予後の良好なものも多いが,運動誘発性VTは死亡例の報告もあり十分な観察が必要である.今回我々が経験した発熱誘発性VT症例は,運動負荷にて誘発されないため,catecholamine sensitive VTとは機序が異なるものと思われ,今後さらなる検討を要する. |
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