PD-III-1
最新の心エコー装置(3Dエコーを中心に)
長野県立こども病院循環器科
里見元義

心エコー装置は進歩を続けている.3Dエコーを中心に最新の装置と今後の方向性を紹介する.心臓の三次元エコー(3Dエコー)は,オフライン3Dエコーとリアルタイム3Dエコーとに分類される.◆オフライン法:2D画像(断層エコー)を心電図同期法により多数枚収集した後にPCを用いて立体表示する方法である.画像収集の方法にはパラレルスキャン,ファンライクスキャン,ローテイショナルスキャンがあるが,小児では胸壁または肋骨弓下からのアプローチによるローテイショナルスキャンが有用である.最近開発された磁場を用いて超音波プローブの位置を自動認識させるフリースキャン法は小児領域では特に有用であるが限界もある.画像収集後にカットプレーンや視点を任意に移動させて表示することが可能である反面,その都度立体構築を行うための時間が必要である.三次元構築のための画像処理に要する時間は最新のものでは10~20秒と以前に比較すると格段に短縮されている.◆リアルタイム3Dエコーにはメカニカル法と電子スキャン法が存在する.メカニカル法は電子走査型の2Dエコー断面を機械的に断面に直角方向に走査してボリュームデータを短時間に収集し瞬時に立体表示するものである.メカニカル法の限界はフレームレートが限られることで現在のところ,最大でも15Hz程度に留まっている.電子走査型の3Dエコー法は碁盤の目状に細かく分割されたマトリックスアレイトランスデューサーを用いて電子走査のみにより瞬時にボリュームデータを収集し,リアルタイムにデータ処理を行い立体表示させるものである.フレームレートはメカニカル法よりも多く有望であり,現在電子走査型リアルタイム3Dエコー装置の開発が進行中である.

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