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B-IV-2 |
大動脈縮窄に対するステントを用いた血管形成術 |
愛媛大学医学部小児科1),東京女子医科大学附属日本心臓血圧研究所循環器小児科2)
檜垣高史1),山本英一1),村上至孝1),中野威史1),松田 修1),寺田一也1),後藤悟志1),宮崎正章1),貴田嘉一1),中西敏雄2) |
【緒言】大動脈縮窄に対してステントを用いた血管形成術を経験した.治療成績,手技,問題点などについて検討し報告する.【対象と方法】対象は,大動脈縮窄術後再狭窄 3 例および胸部下降大動脈低形成の 1 例.年齢は,11歳~18歳(平均14.3歳),体重は,38~59kg(平均49.8kg),身長は,139~159cm(平均153cm),右上肢安静時収縮期血圧は,122~162mmHg(平均143mmHg,2 例は降圧薬を内服),上肢下肢の安静時血圧の圧較差は,24~48mmHg(平均33mmHg),最狭窄部径は,5.0~9.7mm(平均6.8mm)であった.全例に対してPalmaz STENT 3010を用いた.使用個数は,1~4 個.大腿動脈を10Frまたは11Fr long sheathで確保し,バルーンカテーテルにステントをマウントし,狭窄部へ進めた.2 例では,対側の大腿動脈から5Fr multipurposeを,他の 2 例では右手の正中動脈から4Fr pigtailを,狭窄部より近位側において造影しながらステントの留置位置を決定した.1 例では,BIBを用いた.INNER Balloonを拡大させた状態で,留置位置の微調整が可能で有用と思われた.【結果】全例において良好な拡大が得られた.残存圧較差は,胸部下降大動脈低形成の症例を含めて,0~10mmHgであった.術後の右上肢安静時収縮期血圧は,110~125mmHgと低下した.合併症は,1 例に大腿動脈穿刺部に出血を認め,外科的修復を要した.【考察】年長児,成人での大動脈縮窄では,安静時の上下肢血圧の圧較差が20mmHg以上であれば,治療の適応と考えられている.主な死亡原因は,高血圧によるうっ血性心不全,脳血管障害,大動脈瘤破裂,細菌性心内膜炎などである.年長児以降の大動脈縮窄症例に対しては,ステントを用いることにより,比較的安全に圧較差を解除することが可能で,上肢高血圧の改善も得られ有効な治療法であると思われた.ラージサイズのステントを留置するためには,10Fr以上のシースが必要で,大腿動脈損傷に注意を要する. |
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