![]() ![]() |
PD-IV-2 |
Extracardiac TCPCはLateral tunnel TCPCより優れているか? |
岡山大学大学院医歯学総合研究科心臓血管外科
佐野俊二,河田政明,石野幸三,手取屋岳夫,新井禎彦,久持邦和,笠原真悟,伊藤篤志 |
単心室症に対するFontan手術は初期のAtriopulmonary connection(APC)からtotal cavopulmonary connection(TCPC)が最近の主流となってきた.TCPCも更に大きくlateral tunnel法とextracardiac法に分けることができる.Extracardiac TCPCの利点は心房の切開,縫合が少なく,心房が低圧部位に来るため術後の不整脈の発生が少ない.またかなりの症例で人工心肺を用いる事なく手術が施行可能である事などである.このためextracardiac TCPCを第 1 選択としている施設が増加しているようである.我々は現在までlateral tunnel法を第 1 選択としてきた.特に心房壁をロール状に巻き,異物をできるだけ用いる事なくTCPCを完成させるよう工夫している.それは 2─3 歳での手術が多く,患児が小さいため18─20mmのgraftを用いる手術を危惧している事,患児の成長によるgraftの変化,抗血栓性などに未だ不安があるからである.Lateral tunnel法では患児の大きさによる制約はなく,我々の方法ではsuture lineは一本の線と重なるためか有意な術後不整脈の発生は認めていない.また心房壁のみを用いると患児の成長とパラレルに右房導管は大きくなっており,また抗血栓性の面からもすぐれていると思われる.とはいっても心房壁の拡大と菲薄化を伴った症例,年長児または成人例,更にTAPVRを伴うHeterotaxiaなどの症例にはExtracardiac TCPCは非常に有用と思われる.1991年より2001年 8 月までに当施設で行なった95例のFontanの成績は病院死 1,遠隔死 1 である.約10年間に及ぶ我々の経験を検討し,現在の方針を述べる事とする. |
![]() |
閉じる |