PD-IV-8
乳児期のConotruncal Repair法
東京女子医科大学附属日本心臓血圧研究所心臓血管外科
黒澤博身

Fallot四徴症において生直後から進行変化する特徴は右室,左室の容量負荷減少,右室の圧負荷増大,肺血流減少であり,このため右室の求心性肥大,RVEDV減少,肺血管床減少が進行する.この状態で心内修復術を行うと右室と肺の容量負荷が相対的に増加する(下図参照).肺血流が少ない重症例ほどこの傾向が強い.右室の求心性肥大,RVEDV減少,肺血管床減少を止めるには早期心内修復術が必要である.一方,新生児期Fallot四徴症のVSD閉鎖は遺残短絡,房室伝導障害,三尖弁障害などの合併症を生じやすい.三尖弁中隔尖を使わずmembranous flapを使うVSD閉鎖とPTFE1弁付きパッチによる右室流出路再建を要点とするconotruncal repair法は遺残短絡,三尖弁中隔尖固定,三尖弁逆流,房室伝導障害,遺残狭窄の確実な防止と肺動脈弁閉鎖不全の軽減により右室の容量負荷増大を最小限に抑え圧負荷を確実に減ずる術式である.この術式の至適年齢は 3 カ月から 2 歳の乳児期である.Unifocalization後やRastelli型手術を含めた全心内修復術のうち 2 歳以下は1985─91年が40.7%(77/189),最近10年(1992─2001年)では54.2%(187/345)であった.

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