C-IX-4
胎児診断された不整脈症例の臨床的検討
総合病院鹿児島生協病院小児科1),鹿児島市立病院小児科2),鹿児島大学医学部小児科3)
西畠 信1),奥 章三2),河野幸春3)

【目的】胎児不整脈の臨床像を解析する.【方法】過去12年間に診断した胎児不整脈68例で,不整脈の種類・経過,心奇形・胎児水腫の有無,胎児治療,転帰について検討した.不整脈診断は,Mモード心エコーで,心房収縮と心室収縮の関係を見た.最初の診断で心房性早期収縮(PAC),心室性早期収縮(PVC),頻脈群(180bpm以上),徐脈群(100bpm以下)に分けた.【結果】(1) PAC(46例):在胎19週~40週で診断,妊娠中期も多かった.Blocked PACは21例.出生後も26例でPACがあったが,殆ど 1 週間以内に消失.心奇形 3 例(単心室,HLHS,Ebstein)は不整脈が心奇形診断の契機となった.HLHS症例が術後死亡,他は生存.(2) PVC(12例):10例が30週以降で診断され,PACより出現が遅い傾向.1 例が合併した心不全にて胎内死亡,他の11例中 9 例は出生後もPVCが持続したが,1 カ月以上持続は 1 例.胎児期に非持続性心室頻拍 1 例.心奇形合併なし.(3) 頻脈群(5 例):PSVT 3 例,AF 1 例,接合部性頻拍(JET)1 例で,全て生存.2 例(PSVT,JET)で胎児水腫.PSVT 2 例とAF 1 例はDigoxinが有効で出生後も発作なし.PSVT 1 例でDigoxin無効,Flecainide有効.JET症例はDigoxin無効だったが,帝切後に腹水除去のみで改善し,生後も接合部調律.(4) 徐脈群(5 例):complete AV block 3 例,うち心奇形 2 例(l-TGA,総動脈幹残遺)は出生後死亡,心奇形のない 1 例(母体SSA抗体陰性)は21週で妊娠中絶.一過性のWenckebach 2 例中 1 例は18trisomyで胎内死亡,1 例は正常調律となり,生存.【結語】早期収縮は予後良好.徐脈群と心奇形合併例では予後不良.頻脈群は適切な治療と予後判断の為に正確な診断が必要である.

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