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V-II-1 |
大動脈二尖弁の三尖弁化手術の 2 例 |
山梨医科大学第二外科1),山梨医科大学小児科2)
吉井新平1),鈴木章司1),保坂 茂1),大澤 宏1),多田祐輔1),星合美奈子2),内藤 敦2),丹 哲士2),角野敏恵2),中澤眞平2) |
【目的】思春期に達した二尖弁性大動脈弁狭窄,閉鎖不全に対する術式には多くの選択肢がある.2 例に対しての三尖弁化手術をビデオ供覧する.【症例 1】15歳女性,二尖弁による大動脈弁閉鎖不全症にて,自覚症状出現し左室拡張末期圧も上昇したため手術適応とした.術前診断での形態から三尖弁化が可能と判断,無処置の自己心膜によるcusp extension法を選択した.エコー所見から延長する自己心膜のモデルを実物大にフェルトで作成し滅菌した.手術所見では,“右”と“無”冠尖が縫線にて繋がっている 1 弁と,やや大きい左冠尖の二尖弁で,比はおよそ 2:4:4 であった.“右”と“無”冠尖の縫線を切開,“右”と左冠尖の交連も切開し三尖弁化し,肥厚弁尖もスライスした.次に模型をあてがい,適切な大きさの型に自己心膜を切り出し,3 弁とも弁尖を延長した.術後 1 年良好に経過.【症例 2】13歳男性,二尖弁による大動脈狭窄症(圧差80mmHg)にて胸痛も出現したため,手術適応とした.方針として交連および縫線切開を行い,逆流が生じた場合にcusp extension法とすることとして症例 1 と同様にモデルを作成した.手術所見では“右”と“左”冠尖が縫線にて繋がっている 1 弁とやや大きな無冠尖の二尖弁であった.縫線切開および”右”と無冠尖の交連を切開,弁口が十分にとれ弁の接合も十分にて手術を終了した.術後 6 カ月良好に経過.【考察】思春期での弁手術には形成術,置換術(生体弁,機械弁),Ross手術などが選択肢にあげられるが,いずれも問題点がある.今回の 2 症例では患者,家族とも十分検討した結果,可能なかぎり自己弁を温存することにより,QOLが高く,かつ将来にも多くの選択肢を残しておく本法を選択した.手術は完全無輸血で再手術に備えて人工心膜を使用した.長期の信頼性に問題はあるも,本法のような選択も十分考慮に値すると思われた. |
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