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V-III-3 |
小児僧帽弁置換後二次性DCM,stuck valveに対する心拍動下僧帽弁再置換,左室形成術 |
京都大学大学院医学研究科心臓血管外科1),京都大学大学院医学研究科小児科2)
池田 義1),植山浩二1),土井 拓2),野崎浩二2),飯田みどり2),堀井泰浩1),亀山敬幸1),仁科 健1),西村和修1),米田正始1) |
【症例】11歳女児.Congenital MSRにて 6 歳時MVR (Carbomedicus 25mm)施行される.この際術中心筋梗塞によると思われる著明なLOSのためIABP,二期的胸骨閉鎖で救命したが,術後も心機能低下,心拡大が進行.3 カ月前より人工弁の一葉が閉鎖位固定となったのを機に入院,カテコラミンサポートを要するようになった.心エコーにてLVDd 70.2mm,LVDs 63.1mm.LVGにて壁運動は全体にsevere hypokinesisからdyskinesis,LVEDVI 337ml/m2,ESVI 280ml/m2,EF 16.8%.冠動脈造影は正常.再手術を考慮中であったが,排便時にショック状態となり気管内挿管,IABP施行.準緊急的に再手術を施行した.【術式】体外循環確立後volume reduction testを行い,左室後壁および側壁の壁運動,thickeningは改善するのに対し,前壁中隔は変化に乏しいことを確認.SAVE(septal anterior ventricular exclusion)型左室形成を行うこととした.心拍動下に左冠動脈前下行枝(LAD)と対角枝の間でLADに沿って左室心尖部に約 8cmの縦切開を加えた.左室切開部より観察した僧帽弁はpannusによるstuck valveであった.人工弁のcuffをメスで切開し,cuffを残して人工弁を摘出した後,左心房側のpannusも切除した.新たにSJM 23mm人工弁を左室側から逢着した.左室内腔を観察すると同時に壁のthickeningを触知しながら,前壁中隔のうち肉柱形成とthickeningに乏しい部分をexcludeするようにfelt付きu-stayを用いて心室内にHemashield patchを逢着した.さらに心室切開部を 2 層に閉鎖した.体外循環からの離脱はIABP施行下に容易で,LVDdは50─55mmに減少,心室壁運動も改善した.【結語】DCMに対する左室形成術は症例によっては小児期においても効果を期待できる.形成部位の決定にはvolume reduction testが有用であった.手術操作は心拍動下に問題なく行うことができ,心筋保護の面からも有利と考えられた. |
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