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A-I-13 |
ホメオボックス遺伝子Msx1,Msx2の冠動脈形成における役割 |
新潟大学大学院医歯学総合研究科分化再生制御学分野1),新潟大学大学院医歯学総合研究科小児科学分野2)
里方一郎1),伊東達雄1),磯部賢諭1, 2),内山 聖2) |
【目的】ホメオボックス遺伝子Msx1,Msx2のダブルノックアウトマウスは,心ループの異常を来し,心内膜床の低形成,心室流出路および大血管の奇形(完全大血管転位,両大血管右室起始,総動脈幹遺残,重複大動脈など)を生ずることをこれまでの本学会で報告した.今回は,Msx1,Msx2ダブルノックアウトマウスの冠動脈の形成について解析を行ったので報告する.【方法】Msx1,Msx2ダブルノックアウトマウスの冠動脈を実体顕微鏡を用いて観察した.組織学的観察は,連続切片を作成し,HE染色および抗血管平滑筋ミオシン重鎖抗体による免疫組織化学により行った.Msx1,Msx2の発現はin situ hybridizationにより観察した.心臓神経堤細胞の観察は,Wnt1-LacZおよびConnexin43-EGFPトランスジェニックマウスを利用して行った.【結果および考察】Msx1,Msx2ダブルノックアウトマウスでは,冠動脈口の数の異常,起始部の位置異常,走行異常,ならびに冠動脈の低形成が認められた.冠動静脈はepicardiumの細胞から形成されると考えられているが,Msx1,Msx2はepicardiumに発現が認められた.一方,ニワトリのablation実験により,心臓神経堤細胞が冠動脈のパターン形成に重要な役割を担っていることが知られている.Msx1,Msx2は神経堤細胞に発現が認められ,Msx1,Msx2ダブルノックアウトマウスの神経堤細胞の遊走には異常が認められた.以上の結果より,Msx1,Msx2は,epicardiumおよび心臓神経堤細胞の増殖・遊走・分化の制御を介して,冠動脈のパターン形成に機能していることが考えられた. |
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