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C-I-1 |
HLHS with restrictive ASDの肺病理組織所見の検討 |
東京大学医学部心臓外科1),日本肺血管研究所2),北里大学医学部胸部外科3)
前田克英1),八巻重雄2),村上 新1),高本眞一1),麻生俊英3) |
【はじめに】HLHS with restrictive ASDにおけるNorwood operationのmortalityは依然として高く,その原因については肺自体の問題であることが示唆されるもはっきりとされていない.今回われわれは,上記診断され手術を施行するも,hypoxiaが遷延し早期に亡くなった症例の肺病理組織標本を得たので,臨床経過とともにその病理組織学的特徴につき報告する.【臨床経過】症例 1:満期自然分娩男児.生後 0 日に高度cyanosis出現し,HLHS with IASの診断.同日緊急BAS施行,径3.3mmのASD作製.流速は0.9~1.3m/secを得た.著明な肺欝血は改善し,全身状態の改善を待って,生後 8 日,RV-PA conduitを用いたNorwood operation施行.術後hypotension・hypoxiaのため,人工心肺離脱できず,術後 0 日に死亡.症例 2:満期帝王切開男児.Cyanosis強くHLHS with restrictive ASDの診断.ASDは径 2mmで2.2m/secと速い流速を認める.生後 2 日にRV-PA conduitを用いたNorwood operation施行.術中oxygenationが不十分だったため,BT shunt追加.術後NO,steroid,surfactant等使用するも血液ガス所見改善せず,術後17日に死亡.【肺病理】両症例とも共通した病理学的所見を有した.すなわち,著明なlymphangiectasiaを認め,また肺静脈も拡張し中膜の肥厚(動脈化)の所見を呈していた.また肺小動脈には内膜病変はないも著しい中膜壁の肥厚を認めた.病理組織学的計測を行い,肺小動脈の低形成について調べたところ,肺小動脈は併走する気管支に比べ,正常症例と比較し著しく径が小さくなっており,高度の肺小動脈低形成が示唆された.【結語】HLHS with restrictive ASDでは術後hypoxiaが遷延し,肺血流の維持が難しいのが特徴である.その成因には肺小動脈の低形成が大きく関与していると示唆され,他のlymphangiectasia等の影響と併せて,不良な予後を規定していると思われた. |
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