C-I-26
川崎病冠動脈障害残存患者における血管内皮機能─ビタミンC投与による検討─
久留米大学医学部小児科
古井 潤,石井正浩,牟田広実,菅原洋子,江上公康,赤木禎治

【背景】川崎病(KD)は原因不明の疾患で,本態は全身性の中小動脈炎である.われわれは川崎病患児での冠状動脈の血管内皮機能が低下していることを選択的冠状動脈造影により証明し報告した.【目的】川崎病患児の血管内皮機能をflow mediated dilatation (FMD)を用いて評価した,ビタミンC投与が血管内皮機能与える影響を検討した.【対象】重症の冠状動脈障害を来したKD罹患児 8 名を対象とした.性別は男 6 名,女 2 名であり,年齢は10~22歳(15.9±1.4歳),発症からの観察期間は 3~16年(9.8±1.8年)であった.対照(cont)群は年齢・性別を一致させた健常児13名とした.【方法】Philips社製SONOS 5500と11MHzのプローブを用い,患者の上腕動脈径を測定した後,前腕を 4 分30秒ほど200mmHgにて駆血,駆血解除後60秒の上腕動脈径を計測しFMDを求めた,ビタミンCを2,000mg静注後に再度駆血しFMDを求めた.血管平滑筋の機能を検討するためにニトログリセリン(NTG)を舌下投与し拡張率を求めた.【結果】FMDはKD群はcont群と比較して有意に低い値となった(KD vs. cont 4.5±1.1%vs. 13.5±2.8% p < 0.05).KD群,cont群ともにビタミンC 2,000mg静注においてFMDは有意に改善していた.ビタミンCを 4 カ月間2,000mg服用した 2 例はそれぞれFMDが8.8%と10.1%に改善したNTG投与後では両群間では有意差は認めなかった.【結語】重症の冠動脈障害が残存したKD罹患児において血管内皮機能の低下が認められ,ビタミンC投与において血管内皮機能の改善が得られた.

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