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D-I-6 |
シルデナフィルの動脈管拡張作用 |
東京女子医科大学附属日本心臓血圧研究所循環器小児科
八鍬 聡,門間和夫 |
シルデナフィル(ヴァイアグラ)はtype5 phosphodiesterase(PDE5)阻害作用により,ある種の血管平滑筋を強く拡張する.新生児の肺動脈弁閉鎖症など重症の先天性心疾患では,動脈管拡張治療が救命的で,そのためにプロスタグランジンE1(PGE1)が用いられるが,PGE1には無呼吸など副作用があり,静脈内持続注入を要する点が煩雑である.2002年夏にシルデナフィルの動脈管拡張作用のin-vitroの研究が報告された.われわれはシルデナフィルの臨床応用を目指し,その動脈管拡張作用を次のごとくin-vivoの動物実験で研究した.Wistarラットを用い,帝王切開で取り出した胎仔を全身急速凍結した後,凍結ミクロトーム上にて前額面でカットした標本を実体顕微鏡とミクロメータ下に動脈管内径の計測を行った.妊娠満期21日にインドメサシン10mg/kgを親ラットに経口投与すると胎仔動脈管内径は80(×10μm)から 4 時間後に20,8 時間後に15に収縮した.シルデナフィル 1,10,100mg/kgをインドメサシンと同時に経口投与すると,シルデナフィルは用量依存性に,かつ 8 時間後に最も強く動脈管を拡張した.各用量での投与4時間後における拡張率は,1mg/kgで22%,10mg/kgで43%,100mg/kgで100%であった.また,10mg/kg投与時の拡張率は 4 時間後43%から 8 時間後には95%に増加した.従ってシルデナフィルの経口投与での動脈管拡張作用が証明された.8 時間後に効果が大きいことから,その胎盤移行に時間がかかると推定される.さらにわれわれはラット新生仔に対するシルデナフィルの腹腔内投与を行った.満期帝王切開で出生後直ちにシルデナフィル 1,10mg/kgを新生仔腹腔内に投与すると,32℃60分生存後の動脈管内径は,出生 0 分:80(×10μm),60分後対照:7 に対し 1mg/kg:16,10mg/kg:31と有意に拡張した. |
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