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D-I-12 |
右脚ブロックが心室パフォーマンスに及ぼす影響 |
埼玉医科大学小児心臓科
石戸博隆,先崎秀明,増谷 聡,三木幸子,松永 保,竹田津未生,岩本洋一,小林俊樹 |
【はじめに】左脚ブロックは,左室の収縮,弛緩のdiscordinationをもたらし,心不全における低心拍出の一因となることはよく知られており,このdiscordinationを改善する左室,または両室ペーシングは,近年,心不全における有効な治療法の一つとなってきている.一方,右脚ブロックは,小児心疾患術後に比較的多く見られる合併症であるが,右脚ブロックが心室パフォーマンスに及ぼす影響については不明な点が多い.【方法】標準12誘導心電図において,完全右脚ブロック(QRS時間 > 150ms)を示した21例(ToF術後 8 例,VSD術後 9 例,非先天心で心電図上のみCRBBB 4 例)において,超音波エコー検査にて,駆出までに要する右室-左室間の時間のずれ(interventricular mechanical delay;IVMD),心拍出量,Tei indexを計測し,合併症のない川崎病後遠隔期患者25例(正常対照群),ToF,VSD術後でCRBBBのない患者それぞれ 9 例(Tof対照群),18例(VSD対照群)を対象として比較検討した.【結果】CRBBB群におけるIVMDは,対照群に比して有意に増加しており(22±11 vs. -3±9ms,p < 0.001),右心室内電気的遅れが心臓収縮様式に影響を与えていることを示唆した.さらにCRBBB群においては,VSD術後 2 例において両心室の明らかな壁運動の低下,非先天心の 1 例で,II度の三尖弁逆流を認めたが,これらを除いた見かけ上非症候性のCRBBB群の患者においても,心拍出量,および左右心室Tei indexは,各対照群に比しそれぞれ有意に低値,および高値をとり(p < 0.05),右室電気的伝導障害が,左右心室双方の収縮に影響を及ぼしていることが示唆された.【結語】CRBBBは,左右室間収縮のdiscordinationをもたらし,心拍出,左室収縮に悪影響をもたらす.今後,これらの長期にわたる経時的変化と薬剤介入の影響を検討する必要がある. |
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