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D-I-20 |
Double inlet left ventricleに対する外科治療戦略 |
東京女子医科大学附属日本心臓血圧研究所小児心臓血管外科
磯松幸尚,黒澤博身,新岡俊治,長津正芳,森島重弘,坂本貴彦,岩田祐輔,小坂由道,松村剛毅,山本 昇 |
【目的】Double inlet left ventricle(DILV)に対しては,現在Fontan型手術が主流であるが,Fontan型手術適応逸脱症例に対してはseptation手術が機能的根治術である.【対象・方法】1986年 1 月から2002年12月までに当施設において,2 つの房室弁を有するDILVであり,心室中隔形成術を受けた29例(S群),またはFontan型手術を受けた24例(F群)の計53症例を対象とした.一側房室弁閉鎖症例は除外した.形態はSLL型32例,SLD型 6 例(IDL型 1 例を含む),SDD型10例,SDN型 3 例,Polysplenia 2 例であった.根治手術時平均年齢9.1歳(3 カ月~24歳).姑息手術の内訳は肺動脈絞扼術(PAB)が24例,体肺短絡手術が15例,subclavian flapによるCoA修復が 5 例であった.根治手術術式はS群ではダクロンベロアと異種ウマ心膜で作成したcomposite patchによる心室分割,F群では右心耳-肺動脈吻合を原則とした.目的因子を病院死(術後30日以内の死亡または根治手術同一入院中の死亡)と定義した.説明因子として1)術式,2)手術時年齢,3)PABの有無,4)平均肺動脈圧,5)術後完全房室ブロック,を導入し多重ロジスティック回帰により危険因子の解析を行った.p値 < 0.05の場合に統計学的に有意と判定した.【結果】経過観察期間中央値は8.2年であった.病院死を 8 例,遠隔死を 2 例に認めた.上記 5 個の説明因子中,統計学的に有意なものは手術時年齢と術後完全房室ブロックであった.Kaplan-Meier法によるoverall survival rateはS群で79.2% at 5 years,79.2% at 10 years,F群で91.3% at 5 years,84.2% at 10 yearsであり,有意差はなかった(p = 0.34,log-rank test).【結語】1)肺血流増加を伴うDILVでは肺動脈絞扼を行い,早期に根治手術を行うことが重要である.2)バランスされた 2 個の房室弁を有するSLL型のDILVでは,septationを行う意義が存在する.S群中14例でBVF拡大を要した. |
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