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E-I-12 |
全身性炎症反応症候群(SIRS)の合併が疑われステロイド(S)療法を行った新生児重症先天性心疾患の 4 例 |
榊原記念病院小児科
朴 仁三,森 克彦,村上保夫,畠井芳穂,西山光則,嘉川忠博 |
【背景】近年,重篤な病態にSIRSが合併しうることが判明してきた.また重症先天性心疾患を管理するにあたり難治性のcapillary leak(CL)や,血行動態では説明のつかない肺水腫様の呼吸障害が時に経験される.【目的】SIRSが疑われた症例に対するS療法の効果を検討する.【対象】2002年 5 月から2003年に当院で入院加療中にSIRSを疑いS療法を施行した新生児 4 例.入院時の日齢は 0 から21,全例男児であった.著しいCL(膠質の大量投与を要する低タンパク血症,浮腫,腹水,胸水)と全身性の皮膚発赤が認められた場合にSIRSと診断しS療法を行った.【結果】2 例は敗血症を契機にSIRSを発症.1 例(a)は完全大血管転位で心房中隔裂開術後,起因菌は緑膿菌.1 例(b)は重症大動脈弁狭窄バルーン拡大術後,起因菌は表皮ブ球菌.aに対してはbetamethasone(B:0.3mg/kg/d)をSIRS発症翌日から 3 日間投与し膠質輸液を中止しえた.感染の鎮静を待って 9 日後Jatene手術施行.bでは発症翌日にB(0.4mg/kg/d)を 1 日だけ投与しその後SIRSの再燃はなかった.2 例は総肺静脈還流異常で心内修復術直後に発症.1 例(c)は重篤な循環不全治療のため日例21に転院し手術.1 例(d)は肺静脈閉塞による呼吸循環不全で日齢 0 に緊急手術.cは発症から19日後にdexamethasone(0.5mg/kg/d)を開始し原則的に 3 日ごとに漸減,減量中 3 度症状の再燃をみたが若干のS増量で対処し69日後に中止.dは手術直後よりhydrocortisone sodium succinate(4mg/kg/d,持続静注)を開始するも効果不十分と考え術後15時間でB(0.3mg/kg/d)に変更.術後 0 日で無尿となるもCLの改善とともに 3 日後に排尿が再開,現在S漸減中である.急性呼吸窮迫症候群がcに合併.S療法中に新たな感染はみられなかった.【考察】1)今回,われわれがSIRSと考えた病態に対するS療法は有効であると考えられた.2)不良な術前状態が開心術後SIRS発症の 1 因である可能性がある.3)本病態がSIRSであるか検証する必要がある. |
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