E-I-25
Amplatzer心房中隔欠損閉鎖栓留置術に伴う房室ブロック
天理よろづ相談所病院小児循環器科1),モントリオール大学セントジャスティン病院2)
須田憲治1),Joaquim Miro2)

【目的】Amplatzer心房中隔欠損閉鎖栓(ASO)留置術に伴う房室ブロック(AVB)の頻度,予後,誘因について検討する.【対象と方法】対象はモントリオール大学セントジャスティン病院において1997年12月から2001年12月の間にASOを用いて心房中隔欠損の閉鎖をされた162例.術前,術中,術後の心電図から,既存のAVBの悪化した例あるいは新しくAVBを来した例(B)を来さなかった例(C)と比較した.【結果】10例(6.2%)にAVBを認めた(既存のAVBの悪化 1 例 + 新しいAVB 9 例).3 例ではASOの留置中にAVBを来し,残り 7 例では留置翌日から 1 週間の間にAVBを来した.ブロックの程度は 1 度AVB:4 例,2 度AVB:4 例,3 度AVB:2 例であった.AVBのため症状を呈した例はなかった.これら10例のうちで 8 例は,6 カ月以内(うち 7 例は 1 カ月以内)に正常房室伝導が回復したが,2 例では最終フォローアップ時点で 1 度のAVBであった(12カ月と33カ月).BとCの比較では,術前の身体条件や術中の操作時間等に違いはなかったが,BはCに比べて大きなシャントを有す心房中隔欠損を大きなASOを用いて閉鎖していた(肺体血流比2.8±0.9 vs. 2.1±0.8,ASOのサイズの平均24±5 vs. 19±6mm),また身長で補正したASOも大きかった(0.21±0.04 vs. 0.17±0.05mm/cm).ASOの留置後にAVBを来した例は全例19mm以上のASOを留置していた.【結論】ASOを用いた大きな心房中隔欠損の閉鎖はAVBを来すことがあり,詳細なフォローアップを必要とする.しかし,多くは一過性であり自然回復しうるものである.

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