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P-I-3 |
運動負荷における冠動脈血流速度計測の有用性と限界 |
秋田大学医学部小児科1),秋田大学医学部心臓血管外科2)
島田俊亮1),原田健二1),青木三枝子1),豊野学朋1),田村真通1),山本文雄2) |
【目的】運動負荷により心筋酸素需要は増し冠動脈血流は増加する.この増加は疾患,心機能により異なると考えられるが,運動負荷中の冠動脈血流変化に関する知見は少ない.最近,超音波診断装置の進歩により左冠動脈前下行枝(LAD)血流の計測が可能となった.本研究の目的は運動負荷中におけるLAD血流速度変化を明らかにし,臨床応用について検討すること.【方法】対象は正常小児16例(13~18歳),冠動脈病変のない川崎病既往児15例(12~16歳),ファロー四徴症(T/F)術後 7 例(6~18歳).半坐位型エルゴメータを用いて,自覚的最大運動時まで負荷した.安静時から運動負荷終了時まで,被検者にプローベを当て,LAD血流信号を検出し,ドプラ法により血流速度を記録した.【結果】安静時におけるLAD血流検出率は正常小児,川崎病既往児,T/Fでそれぞれ94,93,86%であった.最大運動負荷時のLAD血流検出率は正常小児,川崎病既往児,T/Fでそれぞれ47,50,66%であり,運動中の心拍数増加と体動によりLAD血流検出率は低下した.運動負荷によりLAD最大血流速度は正常小児,川崎病既往児,T/Fでそれぞれ27±5 から52±8cm/秒,29±3 から47±4cm/秒,36±5 から55±7cm/秒に増加した(p < 0.01).運動負荷前と運動中のLAD血流速度変化率は正常小児,川崎病既往児,T/Fでそれぞれ1.91±0.18,1.89±0.11,1.53±0.16で,T/F群で有意に低値であった(p < 0.05).【結語】最大運動負荷時における冠動脈検出率は不十分であるものの,T/F群において冠動脈血流速度変化が低下していたことは,本群における運動時心筋酸素需要・供給のアンバランスを示唆する.より高解像度,より多くのフレームレートを有する心エコーの導入により,運動負荷時の冠動脈血流速度検出率が向上し,さまざまな疾患における運動時心機能予備能と冠動脈血流との関係が非侵襲的に評価できるものと期待される. |
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