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P-I-9 |
心エコー法による左室拡張能の年齢的変化 |
浜松医科大学小児科
岩島 覚 |
【目的】成人領域では心拡張不全という概念が提唱され久しいが小児領域における心拡張能についての知見は少ない.心拡張能の心エコーによる評価は簡便で非侵襲的であるが,加齢や血行動態の変化による影響を受けやすくその評価に関しては複雑である.今回,左室流伝播速度(LVp)を用い,左室拡張能の年齢的変化を検討したので報告する.【対象・方法】対象は浜松医科大学小児科を入院もしくは外来受診した,基礎心疾患を認めないLVEF,LVFSが正常範囲内であった121例.これらの症例を 2 歳以下,2~6 歳以下,6~12歳以下,12~20歳以下の 4 群に分け心エコーによるLVpおよび各種心機能のパラメータを測定し検討した.心エコーはAcuson 128XPを使用し,統計学的にはone way ANOVAを用いた.【結果】LVpは352.1±77.7mm/sec,394.2±72.3mm/sec,455.6±100.3mm/sec,508.4±100.7mm/sec(p < 0.0001)と加齢とともに上昇し年齢とLVpは有意な正の相関を認めた(r = 0.552,p < 0.0001).左室流入波形のE/Aも1.27±0.31,1.67±0.33,1.83±0.34,2.10±0.36(p < 0.0001)とLVpと同様に上昇した.area-length法より求めた左室拡張末期容積(LVEDV)を体表面積で補正したLVEDV/BSAは 2 歳以下,2~6 歳以下で上昇し 6 歳以降は平行となった.【まとめ】LVpを用いた左室拡張能の評価においては加齢とともに上昇した.これは従来の左室流入血流を用いたE/Aと同様の結果で左室拡張能は加齢とともに 2 歳以降に成熟すると考えられた.2 歳以下ではLVEDV/BSAは年長児に比べ小さく拡張能がその成因となっている可能性が示唆された. |
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