![]() ![]() |
P-I-17 |
心室中隔欠損術後遠隔期の不整脈の検討 |
近畿大学医学部小児科1),近畿大学医学部心臓外科2)
谷平由布子1),篠原 徹1),三宅俊治1),竹村 司1),北山仁士2),佐賀俊彦2) |
【はじめに】先天性心疾患術後の問題点の一つとして遠隔期に出現する不整脈が注目されている.今回当院で心室中隔欠損根治術を行い術後10年以上が経過した症例について不整脈の出現状況を調べた.【対象】1976年~1992年の16年間に当院で心室中隔欠損根治術を行った症例のうち手術死亡および他院で追跡を受けている症例を除いた209例.【方法】外来および入院診療録から後方視的に不整脈の出現状況を調べた.【結果】209例の内訳は男103例,女106例,手術時年齢は平均 3 歳 4 カ月,術後経過年数は平均18年10カ月.不整脈例は合計36例(頻度17%)でその内訳は心室期外収縮18例(出現時期は術後平均11.2年),心室頻拍 1 例(術後23年),1,2 度の房室ブロック 6 例(5 例は術後すぐから,1 例は術後 7 年に出現),完全房室ブロック 3 例(いずれも人工ペースメーカの植込み術を術後 3 カ月,4 年,15年に施行),心房粗動 3 例(術後 6,10,16年)であった.一方,追跡脱落例(3 年以上受診していない症例)は95例あり,平均追跡期間は12.1年,脱落時の年齢は平均15.4歳であった.【考察】心室中隔欠損術後10年以上経過した症例の17%に不整脈がみられた.多くは術後との関連は不明だが,このうち術後15年に突然出現した完全房室ブロックが 1 例あったこと,また心房粗動が 3 例あり,いずれも緊急的な治療が必要であったことから,頻度は少ないが致死的な不整脈の出現の可能性があることが示唆された.また追跡脱落例が約半数あり,平均して中学卒業時に脱落する場合が多いことがわかったが,このような遠隔期に起こる不整脈についても十分に考慮し,長期にわたって追跡を行うことが大切であると考えられた. |
![]() |
閉じる |