![]() ![]() |
P-I-25 |
小児不整脈への漢方治療の試み |
大垣市民病院小児循環器新生児科1),国家公務員等共済組合連合会名城病院小児循環器科2),愛知医科大学小児科3)
田内宣生1),大城 誠1),倉石建治1),林 誠司1),西原栄起1),竹本康二1),岩瀬信子1),小川貴久2),馬場礼三3) |
【はじめに】小児の不整脈には年齢や行動様式に依存して出現するものがあり自律神経活動の関与も否定できない.従って漢方による不整脈治療の余地も少なからずありうる.ここでは西洋医学的には全く異なった種々多彩な不整脈に対し漢方が有効であったので報告しその端緒としたい.【結果】1)高度房室ブロック(AVB):症例 1;5 歳,男児.B-T短絡術および部分肺静脈還流異常修復術後の無脾症候群.5 月中旬より咳嗽,顔面浮腫,倦怠感があり朝起きられない.心電図上 2:1 AVBを認めその後午前中に 4 回来院しいずれも 2:1 AVBを認めた.Holter心電図では午前中を中心に 2:1 AVBが出現していた.苓桂朮甘湯の内服により心電図,Holter心電図上 2:1 AVBは消失し,咳や倦怠感も消失し朝起きやすくなった.2)多源性心房頻拍(MAT):症例 2;1 歳 2 カ月,男児.9 月上旬不整脈を指摘,機嫌が悪く食欲がない.心電図上MATと考えられ波状的に消長をくり返した.Holter心電図では夜間から午前中に出現し,ジソピラマイド,塩酸プロプラノロールは無効であった.午前中顔色が悪く出現時に顔色が白っぽく元気がないなどの前兆があり,苓桂朮甘湯の内服によりMATは改善し症状も消失した.3)心室頻拍(VT):症例 3;11歳,女児.1 歳 4 カ月時,VSD(動脈下欠損)閉鎖術施行.8 月下旬定期検診で二階段試験後に心室性期外収縮(VPC)2 連発が出現.トレッドミル運動負荷では起立時に右室流出路起源の持続性VTを認め,運動負荷中には消失した.Holter心電図,head up tiltでもVTを認めた.メキシレチン内服は無効であり苓桂朮甘湯の内服によりVTは消失した.症例 4;9 歳,女児.VPC経過観察中.4 月下旬より運動負荷により右室流出路起源の非持続性VT出現,苓桂朮甘湯の内服によりVTは消失した.【まとめ】特異な出現様式や自律神経失調様症状を伴う小児の不整脈に対し自律神経系に調節的に働くことにより苓桂朮甘湯が有効であったと考えられる. |
![]() |
閉じる |