P-I-37
純型肺動脈閉鎖における三尖弁口面積と右室容積の関係
神奈川県立こども医療センター循環器科
金 基成,松井彦郎,林 憲一,宮本朋幸,康井制洋

【目的】純型肺動脈閉鎖の予後には右室容積が大きく関係する.右室容積の推定には三尖弁径(Z値)が用いられるが,母集団のとり方により差が出るなどの問題がある.今回,右室容積の推定に三尖弁口面積を用いることが可能か検討した.【方法】1990~2002年の当科における純型肺動脈閉鎖の症例のうち,新生児期に造影にて右室容積を求めている13症例について検討した.三尖弁口を円と仮定して心エコーよりその面積を求め,体表面積で標準化し,造影にて求めた右室容積との関連を調べた.また,データの得られた例について遠隔期の右室容積との関連も調べた.【結果】新生児期の{三尖弁口面積(mm2)/体表面積(m2)}(TV area index)の平均は389,右室造影にて求めたRVEDV index(% of normal)の平均は56.1,両者の相関係数は0.72であり,VSD 13例について同様の検討をした相関係数0.31と比べ高度の相関を示した.13症例のうち,major sinusoidal communicationを認めた 2 例を除く11症例において,右室流出路の開放を行った.このうち遠隔期(平均31.4カ月)に右室造影を行っている 7 例について検討すると,新生児期のTV area indexと遠隔期RVEDV indexの相関係数は0.93で,前者の値が400以上の 3 症例ではRVEDV indexはいずれも65%以上(66~106%)であったのに対し,400以下の 3 症例ではいずれも65%以下(7.7~58%)でありuniventricular repairは困難と思われた.【考察】純型肺動脈閉鎖では右室肉柱部の低形成のため,右室形態がより球に近く,容積が三尖弁口面積により強く相関すると考えられた.また,右室容積の成長が三尖弁を通過する血流量と関連するため,三尖弁口面積は遠隔期の右室容積にも相関すると考えられる.【結語】新生児期の心エコーによる三尖弁口面積は,同時点での右室容積および遠隔期の予後の予測に有用であると考えられた.今後さらに症例を加え検討する予定である.

閉じる