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P-I-64 |
胎児心エコー検査で診断した心原性胎児水腫症例の検討 |
福島県立医科大学小児科
桃井伸緒,小林智幸,鈴木英樹,福田 豊,鈴木 仁 |
【背景】胎児水腫は胎児心エコー検査を行う主要な動機の一つであるが,その基礎疾患は多岐にわたり,診断後は治療計画に苦慮することが多い.【目的】当科で施行した胎児心エコー中,胎児水腫を呈した症例の基礎疾患と予後を明らかにし,胎児水腫症例に対する治療方針を検討する.【対象と方法】1994年から2002年までに当院産婦人科より当科へ紹介され,胎児心エコーを行った90胎児(86母体)を対象とした.胎児水腫症例は皮下浮腫を伴わない腔水症の症例も含め,胎児心エコー検査に占める頻度,基礎疾患,治療経過,予後等について検討した.【結果】胎児水腫症例は,産科にて胎児水腫を指摘された20症例と,心疾患疑いで紹介され,後に心嚢液貯留を来した 1 例を合わせて21例であった.21例の内訳は,心原性 7 例,染色体異常 6 例,胎便性腹膜炎 2 例,腫瘍 2 例,母体パルボB19感染症 1 例,先天性乳糜胸 1 例,尿性腹水 1 例,原因不明 2 例であった(一部重複).染色体異常 6 例中 4 例で心疾患の合併を認めたが,心原性と考えられたのは 1 例のみであった.心原性の内訳は単心室 2 例,心内膜床欠損症 1 例,大動脈弁狭窄症 1 例,肺動脈閉鎖 + 大動脈弁狭窄 1 例,動脈管閉鎖 1 例,QT延長を伴う心筋症 1 例で,すべての症例で中等量~多量の房室弁逆流を伴っていた.心原性胎児水腫症例の診断から分娩までの期間は 0 ~62日(中央値13日)であったが,分娩決定は胎児血行動態よりも出生後の治療方針および皮下浮腫の状態に依存した.1 例が死産となり,出生した 6 例中 2 例にカテーテル治療を,4 例に内科的治療を施行した.内科的治療を施行した単心室の 2 例は治療に全く反応せず死亡,BASを施行した僧帽弁逆流を伴った大動脈狭窄の 1 例は,BAS中に死亡し,生存は 7 例中 3 例であった.【考案】心原性胎児水腫症例の予後は不良である.胎児循環と出生後治療方針を組み合わせて分娩のタイミングを決定し,出生直後から治療を行える準備が重要と考えられる. |
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