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P-I-73 |
PPHNを合併したガレン大静脈瘤の新生児例 |
三重大学医学部小児科1),山田赤十字病院小児科2)
澤田博文1),三谷義英1),早川豪俊2),駒田美弘1) |
【はじめに】新生児期に心不全症状で発症するガレン大静脈瘤(VGAM)は,新生児集中治療の進歩や,カテーテルによる血管内治療の導入により,治療成績が改善されたが,依然として予後不良の疾患である.新生児遷延性肺高血圧(PPHN)は約半数の症例で合併し,予後不良因子と報告されている.今回,PPHNを伴うVGAMに対し,一酸化窒素吸入療法(INO)などにより管理し,カテーテル治療を行った.【症例】日齢 1 の女児.在胎38週 4 日,帝王切開で他院にて出生.出生体重3,134g.Apgar Score 6(1 分),6(5 分).無呼吸,チアノーゼが続くため気管内挿管にて蘇生術を施行された.心拡大がみられ頭部雑音などからVGAMが疑われ,当院NICUに搬送された.酸素飽和度は96以上を示したが,心エコー上右室圧は約70mmHgと推定され,動脈管は連続性の右左シャントを示し,心房レベルでも右左シャントを認めた.VGAMに対して緊急コイル塞栓術の適応と判断したが,右室不全の治療として,後負荷軽減のためINOを開始した.INO下に大腿動脈アプローチで経動脈的にコイル塞栓を施行した.治療は合併症なく終了し,術後,尿量が著明に増加した.生後 7 日にNOを中止した.生後 9 日に 2 回目のコイル塞栓を行い,人工呼吸離脱が可能となった.日齢50にPHを認めたため 3 回目のコイル塞栓を行い,生後 2 カ月で退院した.【考察】本疾患に合併する肺高血圧は,血流増加が原因とされるが,文献的には肺高血圧クリーゼの報告があり,剖検例では組織学的に重度の肺血管閉塞性病変も観察されている.重症例ではPPHNの極期に脳血管造影およびコイル塞栓が必要であり,その侵襲に加え,多量の造影剤使用が避けられない.肺循環に機能的,構造的変化を来すことが示唆される本疾患では,PPHNに対してINOなど積極的な対応が求められると考える. |
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