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P-I-98 |
PAPVR心内修復術におけるASD拡大と術後不整脈,遠隔成績の検討 |
国立病院長崎医療センター心臓血管外科1),国立病院長崎医療センター小児科2)
濱脇正好1),橋詰浩二1),山根健太郎1),橋本 亘1),手島秀剛2),本村秀樹2) |
【緒言】PAPVRの手術ではPVOの回避とともにASD拡大に伴う不整脈が問題となる.今回PAPVR術後の不整脈を遠隔成績とともに後視的に検討した.【対象】1974~2002年にICRを施行し,術後経過観察が可能であったPAPVR 17例.【結果】手術時年齢は 1~55歳(平均 9 歳).ASDはsecundum(lower defect):6(2),sinus venosus:7,intact atrial septum:3,multiple ASD:1 でうち12例に拡大術施行.静脈還流異常はrt-upper:8,rt-lower:4,rt-total:5 で還流部位はSVC:6,RA:10,CS:1 であった.術式は17例ともパッチ(Dacron:12,Gore-tex:1,Rig:1,Xenomedical:1,autopericard:2)でのICRを施行(うち,3 例にWilliams法によるSVC再建術施行)した.術後経過観察期間は 6 カ月~21年 6 カ月(平均11年 6 カ月)で術後PVOは認められなかった.しかし下縁欠損型ASD 2 例に術後CAVBを認め,いずれも術後10年目にPM植込術が必要となった.【考察】PAPVRの心内修復では術後にPVOを残さないことが重要である.そのためにはパッチの材質とともに左房へのルートをいかに十分に確保するかが問題となる.一方,術後重症不整脈の発生予防の観点からはそのASDの拡大だけでなくどこに縫合線を置くかがむしろ重要となる.今回術後にCAVBを生じた 2 例はいずれも下縁欠損型ASDでICRでの縫合線の問題が原因として挙げられる.【結語】PAPVR術後遠隔期の成績はPVOもなく良好であった.しかし下縁欠損型ASD症例 2 例に術後CAVBを生じており,左房へのルート作成に際しASD拡大とともにその縫合線には十分注意する必要がある. |
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