P-I-102
筋性部心室中隔欠損の自然予後
県立広島病院小児科
木下義久

【目的】心雑音で診断された筋性部心室中隔欠損の発生頻度とその予後について検討した.【対象と方法】対象は1995年 6 月から2002年12月までに当院で出生した4,473例のうち,心雑音で気付かれ診断された筋性部心室中隔欠損27例.在胎週数の平均は39週,出生体重の平均は2,868g,男女比は15/12であった.診断時年齢は中央値日齡 3 であった.なお,対象にはNICUに入院した 8 例が含まれている.経過観察は,心エコー検査を 1 カ月,3 カ月,6 カ月,1 歳,以後 6 カ月ごとに,閉鎖を 2 回確認するまで定期的に施行した.27例中 1 例が転居のためフォローアップできなかった.平均観察期間は1.0±0.1年であった.【結果】(1)心室中隔欠損の部位はmidseptalが16例,apicalが11例,欠損孔のサイズの平均は2.2±1.0mm,欠損孔の個数は25例が 1 個,2 例が 3 個であった.(2)筋性部心室中隔欠損の発生率は出生1,000人に対して6.0人であった.同期間中に診断した院内出生の膜様部心室中隔欠損は20例で,発生率は出生1,000人に対して4.5人であった.(3)閉鎖時年齢は平均0.5±0.7歳.閉鎖率は92.3%(26例中24例が自然閉鎖)であった.経過観察中閉鎖しなかった 2 例のうち,1 例はmidseptalの多発例,もう 1 例は診断時欠損孔2.7mmのmidseptal単発例であった.診断時の欠損孔のサイズと閉鎖時年齢との間には有意な相関は認められなかった.(4)LVDdの経過中の最大値は平均105.2±7.9% of normal,閉鎖時の平均は98.8±9.3% of normalであった.(5)心不全症状を有したり,手術が必要な症例はなかった.【結論】筋性部心室中隔欠損の自然閉鎖はこれまでの報告よりも高率に認められた.

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