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A-II-2 |
若年期の洞機能不全症候群に対するペースメーカ治療の検討 |
横浜市立大学医学部附属市民総合医療センター心血管センター1),新村医院2)
岩本眞理1),佐近琢磨1),西澤 崇1),瀧聞浄宏1),新村一郎2) |
【緒言】小児や若年者におけるペースメーカ(PM)は多くの未解決な点がある.成長,活動性,理解度等の問題によりリード・トラブルの原因となる機会が多く,また植え込み後の人生が長く使用電極数の最小化を考慮するためVVIの症例も少なくない.VVIにてPM植え込みをした洞機能不全症候群(SSS)の臨床像を解析し,その問題点を検討した.【対象】SSSのうちPMの適応がありVVIでPM植え込みされた 4 例で,2 例は心房粗動(AF)を伴う徐脈頻脈症候群である.【方法】各症例の症状・心電図・CTR・UCGの経過とホルター心電図やPMのホルター機能により自己心拍とペーシング心拍の割合を求めた.【結果】頻拍症状のない 2 例は無投薬でPM植え込み後には失神等の症状は消失し各指標に変化はなく,ペーシング心拍の割合は 8%と18%であった.AFを伴った 2 例は抗不整脈剤を併用しペーシング心拍の割合は50%以上であったが経過中に心拡大が出現した.1 例はβブロッカー投与中(開始後 2 年)に心拡大出現,ペーシング心拍の割合は72%でβブロッカー中止後CTR正常化しペーシング心拍の割合は51%となった.もう 1 例は抗不整脈薬とジゴキシン投与中のペーシング心拍の割合は56%でCTRに変化なかったがAFの再発のためアミオダロンに変更後AFはコントロールされた.ペーシング心拍の割合は97%となりアミオダロン開始 2 年後に心拡大出現した.心拡大を呈した 2 例の心電図ではQRS幅が0.24~0.26秒と広く後方に逆行性のP波を認め,ペースメーカ症候群の関与が強く疑われた.【結語】本来は生理的ペーシングが望ましいが,小児のためVVIとする場合は症例を選別する必要がある.室房伝導が存在し抗不整脈剤投与等によりペーシング心拍の割合が多くなる例についてはペースメーカ症候群を呈することがあるため,DDDモードを選択するかAFに対するカテーテルアブレーションの併用を考慮するのが望ましい. |
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