PD-1
純型肺動脈閉鎖症の 1 症例
福岡市立こども病院心臓血管外科1),福岡市立こども病院循環器科2)
田ノ上禎久1),角 秀秋1),塩川祐一1),深江宏治1),帯刀英樹1),牛ノ濱大也2),中村 真2),佐川浩一2),總崎直樹2),石川司朗2)

【傷病名】純型肺動脈閉鎖,Brock手術後,左BTシャント変法術後.【症例】7 カ月の男児.【病歴】在胎40週,3,272gで出生.出生時より時よりチアノーゼ出現.2 生日に心臓カテーテル検査施行され,純型肺動脈閉鎖症と診断された.7 生日に左開胸にてBrock手術施行された(動脈管放置).心不全のため,8 生日に再左開胸にて動脈管結紮,ゴアテックス 4mm人工血管にて左BTシャント術を施行された.外来にて経過観察中,弁下部の狭窄が進行し,低酸素発作が出現するようになったため,プロプラノロールの内服を開始された.その後,心不全,感染症のため入退院を繰り返していた.7 カ月時に,手術目的にて当院に紹介入院となった.【現症】体重5,518g,身長64.0cm,右上肢血圧116/53mmHg,心拍数110,経皮酸素飽和度93%,肝臓を 1cm触知.胸写心胸郭比65.1%.【心臓エコー検査】左室駆出率78%,肺動脈弁位圧較差140mmHg,三尖弁輪径12mm(正常値比80%),三尖弁逆流 2 度,三尖弁位圧較差148mmHg,心房中隔欠損5.5mm,左右シャント.【心臓カテーテル検査】右房圧 3mmHg,右室圧142/1mmHg,肺動脈圧17/13(15)mmHg,左房圧 3mmHg,左室圧75/0mmHg,大動脈圧72/30(50)mmHg,右室拡張末期容積16.9ml(正常値比64%),左室拡張末期容積21.9ml(正常値比102%),PA-index 337mm2/BSA,冠状動脈正常(類洞交通なし),右室は流入部,肉柱部,流出部の 3 部位存在.【治療方針】1)三尖弁輪径は正常値比80%.2)右室拡張末期容積は64%だが,肥大が強くoverhaulで拡大しうる.3)心房中隔欠損は5.5mm,左右シャント.4)右房圧 3mmHgと低い.5)チアノーゼ軽度.6)肝臓肥大軽度.以上の所見からbiventricular repairが可能と判断.

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