C-II-11
機能的単心室におけるsystemic outflow obstructionに対する治療選択基準の検討
岡山大学大学院医歯学総合研究科小児科1),岡山大学大学院医歯学総合研究科心臓血管外科2),岡山大学大学院医歯学総合研究科麻酔・蘇生科3)
馬場健児1),大月審一1),片岡功一1),大野直幹1),岡本吉生1),笠原里織1),山内 泉1),清野佳紀1),佐野俊二2),竹内 護3)

【目的】機能的単心室におけるSystemic outflow obstructionに対する治療選択基準に関して検討した.【対象・方法】新生児期より当施設で治療された高肺血流型の機能的単心室26例(HLHSを除く).A群:初回手術時にDamus-Kaye-Stansel(DKS)吻合を施行した 5 例,B群:初回手術でPA Banding(PAB)施行し,BDG・Fontan手術時にDKSを施行した15例,C群:初回手術でPAB施行され,そのままBDG・Fontan手術に到達した 6 例の 3 群に分類し,AoV径を正常値で除した値(%AoV),AoV/PAV比,流出路の最狭部径をAoVの正常値で除した値(%VOT)およびPABによる変化(AoVの成長,圧格差(PG),狭窄の進行)に関して後方視的に検討した.【結果】初診時の%AoVはA群64±4%(59~69%),B群89±13%(75~110%),C群123±6%(117~131%),またAoV/PAV比はA群0.45±0.05(0.38~0.50),B群0.68±0.10(0.52~0.80),C群0.99±0.16(0.80~1.34)および%VOTはA群46±5%(39~51%),B群78±17%(58~94%),C群全例100%以上であった.B群におけるPAB前後の変化の検討では,%AoV 88±13%→98±13%,AoV/PAV比0.68±0.11→0.78±0.13とAoVの成長を認めたが,discrepancyは残存していた.また,PAB前は全例流出路に圧較差(PG)を認めなかったが,PAB後は 5 例に10mmHg以上のPGを認め,%VOTの変化は全例では78±17%→71±15%,またPG(+)例では74±22%→60±12%,PG(-)例では85±10%→82±11%と形態的流出路狭窄の進行を認めた.【結論】1)%AoV 70%以下,AoV/PAV比0.5以下,%VOT 50%以下ならば初回手術時にDKSが必要であった.2)%AoV75%以上110%以下,AoV/PAV比0.5以上0.8以下,%VOT 50%以上95以下ならばPAB可能だが後にDKSが必要であった.3)PAB後AoV径は正常値に近づくが,discrepancyが残存する症例では流出路狭窄は進行し,特にPAB後圧格差を認めた例で狭窄の進行は早い.4)先天的なAoV・PAVのdiscrepancyの程度が治療選択基準の一つとなりうる.

閉じる