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D-II-1 |
静脈管の閉鎖機序─ラット胎仔と新生仔の薬理学的操作の研究─ |
東京女子医科大学附属日本心臓血圧研究所循環器小児科
竹内大二,門間和夫 |
静脈管の閉鎖機序はいまだ不明な点が多い.われわれは胎仔および新生仔ラットを用いて静脈管内の血流量,prostaglandin(PG),nitric oxide(NO),endothelin(ET)の静脈管内径縮小への関与を検討した.静脈管径の測定は全身急速冷凍法を用い顕微鏡下でミクロメータを用いて測定した.静脈管流入部径は生後すぐ胎盤臍帯血流を遮断すると10%収縮し,30分後で20%,60分後には30%収縮した.流入部径は生後すぐに臍帯から出血させた群ではより収縮した.親ラットに10mg/kgのnifedipineを胃内注入し胎仔の心機能低下,胎児水腫,心拍出量低下を生じると,投与後 8 時間に流入部径は20%減少した.indomethacinを親ラットに胃内注入しPG産生抑制を行い胎仔の静脈管径を 4 時間後に測定したところ,0.1mg/kgのindomethacinで約20%流入部径が収縮し 1mg/kgで最大収縮をした.親ラットに10mg/kgのL-NAMEを腹腔内注入しNO産生を抑制したところ,投与後 4 時間後に約20%流入部径が収縮した.親ラットにET A受容体阻害であるCI 1020 1mg/kg腹腔内注入とL-NAME 10mg/kg腹腔内注入を併用投与したところ,CI 1020はL-NAMEによる静脈管収縮を完全に抑制した.またCI 1020 1mg/kgとindomethacin 10mg/kgを親ラットに併用投与したところ,CI 1020はindomethacinによる静脈管収縮も完全に抑制した.しかし,親ラットにCI 1020を単独投与しても生後 1 時間の新生仔静脈管の収縮は抑制できなかった.【結論】静脈管径は静脈管内を流れる血流量に応じて受動的に変化する.PG,NO,ETは胎仔の静脈管径調節に関与しているが,生後の静脈管閉鎖における役割は小さい. |
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