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D-II-25 |
完全型心内膜床欠損症における心室中隔欠損孔サイズによる予後の検討 |
順天堂大学医学部小児科1),順天堂大学医学部心臓血管外科2)
佐藤圭子1),金 成彌1),大槻将弘1),織田久之1),高橋 健1),稀代雅彦1),大久保又一1),秋元かつみ1),山城雄一郎1),川崎志保理2) |
【背景】完全型心内膜床欠損症(atrioventricular septal defect:以下AVSD)例の経過予後には,房室弁逆流の程度,左右短絡による肺血流量増加,これにより進行する肺高血圧症が大きく関係している.【目的】今回われわれは当科で経験したAVSD 6 症例において,よく知られた予後不良因子に加え,心室中隔欠損孔サイズに着目し,サイズの違いによる予後について検討した.【対象】1998年から2002年に当科で経験したAVSD 6 例(男児 3 例,女児 3 例).経過良好 3 例はRastelli type AでDown症候群,経過不良 3 例はRastelli type Cでnon-Down症候群であった.【結果】各群における肺動脈圧は経過良好群で収縮期圧50mmHg(平均32mmHg),不良群で収縮期圧47mmHg(平均31mmHg),肺血管抵抗は経過良好群で平均4.4Um2,不良群で4.6Um2とともに有意な差は認められなかった.また,心房中隔欠損孔サイズも両群で明らかな差を認めず,術前に明らかな左室低形成例はなかった.しかし,心室中隔欠損孔サイズは経過良好群で6.4~19mm(平均11.4mm),不良群で 1~6mm(平均3.0mm)であり,経過不良群のサイズは良好群に比べ有意に小さく,3 症例とも術後心不全の悪化を来し死亡した.【考案】AVSDにおいて重要な他の予後不良因子に差がみられない 6 症例で,左右短絡量が多くうっ血性心不全が進行する,心室中隔欠損孔サイズの大きい症例よりも,サイズの小さい症例で予後不良となる経過を示した.サイズの小さい例では,心房間左右短絡に加え房室弁逆流による左右短絡の存在から,右室負荷の増悪と,左室からの心拍出量の減少が,その術後経過に強く関与していると思われた.AVSDでは,房室弁機能,肺高血圧に加え,小さいサイズの心室中隔欠損孔も重要な予後不良因子であると考えられた. |
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