![]() ![]() |
P-II-2 |
多変量自己回帰モデルによる川崎病と溶連菌感染症の流行の解析 |
船橋市立医療センター小児科1),石川医院2)
小穴慎二1),石川康宏2) |
【背景】川崎病の原因と考えられた既知の疾患はさまざまあり,溶連菌感染症もその一つである.疫学的には,川崎病とリウマチ熱の発生数は負の相関関係があるとの報告があるが,川崎病と溶連菌感染症の流行様式の関係は不明である.【方法】1988年より1996年間の 9 年間における国立感染症研究所感染症情報センターの感染症発生動向調査通報の川崎病様疾患と溶連菌感染症の発生報告数を時系列データとした.和田のコンピュータプログラムを用いて,最小二乗法により最適係数を,また赤池情報基準により最適次数を決定し,川崎病様疾患,溶連菌感染症 2 疾患の多変量自己回帰モデルを作成した.同モデルを用いて,両疾患報告数の変化が両モデルに与える相対パワー寄与率を算出するとともに,インパルス応答を算出し互いの疾患報告数の変化により他方の疾患の報告数にどのような変化が生じるかをシミュレーションした.【結果】1)赤池情報基準を用いて,川崎病様疾患と溶連菌感染症 2 疾患ともに 5 次の多変量自己回帰モデルを作成した.2)相対寄与率の検討では,川崎病様疾患に対する溶連菌感染症の相対パワー寄与率は川崎病様疾患の報告数の変化に対する溶連菌疾患の寄与は低周波領域に10%見られた.また溶連菌疾患の報告数の変化に対する川崎病様疾患の寄与は低周波領域で35%見られた.3)インパルス応答を用いたシミュレーションでは,溶連菌感染症の報告数の増加に対して,川崎病様疾患の報告数は最初減少,そして後に増加する 2 相性の変化を示した.また,川崎病様疾患の報告数の増加に対して,溶連菌感染の報告数は減少を示した.【結語】本モデルの解析からは,川崎病様疾患と溶連菌感染症の報告数の間には弱い寄与が見られた.それらは,概してネガティブフィードバックと考えられた. |
![]() |
閉じる |