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川崎病不全型─何が診断の決め手となるか,何が治療方針を決定するか?─ |
社会保険広島市民病院小児循環器科
木口久子,鎌田政博,木村健秀 |
【背景】当院では1996年より不全型が増加しており,2002年にはほぼ半数を占めた.【目的】不全型の臨床像を明らかにし治療に反映させること.【対象・方法】過去13年間に当院で急性期治療を行った川崎病361例中,主要 5 項目を満たさなかった広義の不全型82例(男:女 = 43:39,年齢23.8±20.8カ月)を対象とした.これらを年齢層別に分け,不全型の割合,原田のスコアと冠動脈瘤発生率,各主要症状の出現率を後方視的に検討した.【結果】年齢分布:全体では 1~2 歳で大きなピークを形成していたが,不全型の占める割合は 6~12カ月で34%と最も高かった.不全型における主要項目出現率:6 カ月未満の群ではいずれの項目も欠落する場合が多く,頸部リンパ節腫脹の出現率はどの年齢層においても 3 割以下であった.膜様落屑は12カ月以上では 8 割に見られ,確定診断の助けとなったが,6 カ月未満では 3 割と欠落する例が多かった.BCG接種部位の発赤は 2 歳未満では不全型でも典型例と同様に 8 割以上で認め,診断上有用であった.原田のスコアと冠動脈瘤発生率:典型例において原田のスコア 4 点以上では瘤合併率は高かったが,不全型では一定の傾向はなかった.年齢層別瘤合併率:1 歳以上での瘤合併は不全型で4.5%,典型例で4.7%であり,両群間に有意差は認められなかったが,1 歳未満の不全型では10.6%,典型例では6.3%と不全型症例で瘤の合併率がむしろ高い傾向にあった.【結語】不全型は増加傾向にあり,近年半数を超える勢いである.1 歳未満では主要症状の欠落が多いが,BCG接種部位の発赤は川崎病を疑う有力な手がかりと考えられた.1 歳未満では不全型症例の瘤合併率はむしろ高く,原田のスコアが低い場合でも高リスク群と考え,十分な治療および厳密なフォローアップが必要と考えられた.われわれの治療プロトコールについても言及する. |
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