P-II-29
心エコーによる川崎病急性期の拡張能の評価
日本大学医学部小児科
金丸 浩,宮下理夫,鮎澤 衛,唐澤賢祐,住友直方,岡田知雄,原田研介

【背景・目的】川崎病急性期における心拡張能の変化についてはこれまで定時的な検討はされていない.川崎病急性期患者の左心拡張能評価を行ったので報告する.【対象・方法】川崎病の診断で入院した21例を対象とした.平均年齢2.1歳,平均体重11.3kgであった.不全型は除外し,全例にガンマグロブリン(IVIG)を投与し,冠動脈障害を認めなかった.平均8.8病日で解熱した.IVIG投与直前(平均4.8日),2 週(平均14.1日),1 カ月(平均31.7日)の 3 点において以下の測定を行った.左室駆出率(EF),僧帽弁流入波のE/A比,E波減速時間(DT),等容拡張期時間(IRT),拡張早期左室内伝播速度(FPV)および減衰時間(TD),肺静脈波のS/D比の各項目について比較検討した.【結果】DT,IRTおよびFPVの各項目にて有意差を認めた.2 週と 1 カ月の比較ではすべての項目で有意差を認めなかった.【考察】川崎病後 2 週,1 カ月での拡張能の低下が示唆された.しかし,DT,IRT,FPVは心拍数の影響を受けやすく結果にバイアスがかかっていることが予測される.今後正常群との比較,回復期の拡張能の検討が必要と思われる.

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