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P-II-48 |
ヘモクリップを使用した肺動脈絞扼術 |
兵庫県立尼崎病院心臓血管外科
齋藤文美恵,野本慎一,大谷成裕,朴 昌禧,金 賢一,森島 学 |
【目的】先天性心疾患の姑息手術として肺動脈絞扼術(以下,PAB)は最も頻繁に用いられる術式の一つである.当院では2001年12月より従来多くの施設で施行されているstatic bandingからadjustable bandingに変更したので,その術中所見と根治術時の所見をあわせて報告する.【対象】2001年12月以降に施行した 4 例(男児 3 例,女児 1 例).手術年齢は生後20日~2 カ月.musculer VSD 1 例,TGA 2 例,IAA + VSD 1 例.【手術方法】合併手術がない場合は左第 2 肋間前方小切開(皮切約 3cm)を行う.幅 3mmのシリコンコーティングテープに 5mm長の塩ビチューブを通して使用する.肺動脈圧,橈骨動脈圧と酸素飽和度を測定しつつ肺動脈を絞扼し,適切なところでヘモクリップ(Mサイズ)を用いチューブとテープを固定する.【経過】術中肺動脈圧較差は術後エコーでほとんど変化を認めずbandingは効果的であったと考えられた.1~5 カ月後に根治術を施行した 3 例とも,周囲との癒着は軽度で,テープの位置に大きなずれは認めなかった.肺動脈形成は行わなかった.2.9kg時にPABを施行した症例(IAA + VSD)のテープの長さは19mmで,Pp/Psは0.44であった.【考察】当院ではadjustable bandingに変更後は,Truslerの基準に関係なく各種モニタのみで絞扼を行っている.ヘモクリップを使用することで段階的絞扼が可能となり,急激な血行動態の変化を避けることができる.またその追加,除去により絞扼径をヘモクリップ 1 個単位で容易に微調節できる.ヘモクリップ固定のみでバンドの緩みはほとんどなく,有効な絞扼が維持できた.【結語】ヘモクリップを使用したPABは簡便な手術操作で適切な絞扼を得ることができる. |
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