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P-II-52 |
単心室に対する房室弁形成術の外科治療成績 |
大阪府立母子保健総合医療センター心臓血管外科1),大阪府立母子保健総合医療センター小児循環器科2)
秦 雅寿1),岸本英文1),川田博昭1),三浦拓也1),帆足孝也1),中島 徹2),萱谷 太2),稲村 昇2),石井 円2),角由紀子2) |
【目的】Fontan術(F術)を最終手術とする単心室形態を有する心疾患では,房室弁逆流は予後規定因子の一つである.房室弁形成術の成績を長期予後を中心に検討する.【対象】91年以降に房室弁形成を行った単心室形態を有する心疾患15例(SV 10,HLHS 2,MS 1,MA 1,DILV 1)を対象とし,多脾症 8 例,無脾症 2 例であった.SV全例が共通房室弁で,手術時年齢は0.3~5.6(中央値1.3)歳,体重は3.1~15.3(7.5)kgであった.【方法】房室弁形成術は,(1)前後の共通弁尖を縫合して 2 弁口化する術式(7 例,うち 2 例に人工腱索作成,1 例は心室中隔様組織に弁葉を固定)(2)De Vega術(D術)(7 例)(3)交連部の弁尖縫合(1 例)(4)パッチによる三尖弁口閉鎖(1 例)であった.1 例はD術後に 2 弁化を行った.2 弁口化手術の 1 例には心室肺動脈心外導管作成を,他はGlenn術(11例)またはF術(4 例)を同時に施行した.術中計測した形成後の弁口面積(2 弁口化手術では 2 つの和)は,心血管造影での正常僧帽弁の,おのおの 2 弁口化手術:155±40(meanwSD)%,D術:138±40%,弁尖縫合130%,弁口閉鎖153%であった.房室弁逆流の推移を術後1.7~5.7(3.3)年の超音波検査で観察した.【結果】病院死亡は 7 例(2 弁口化手術 1 例,D術 5 例,弁口閉鎖 1 例)であった.生存 8 例(2 弁口化手術 6 例,D術 1 例,弁尖縫合 1 例)中,術前全例に認めた中等度の逆流に改善が見られたのは 5 例(軽度)で,いずれも 2 弁口化手術例であった.なお,房室弁狭窄を認めた例はなかった.D術の 1 例は遠隔死亡したが,5 例はF術に到達し(2 弁口化手術 4 例,弁尖縫合 1 例),2 例は待機中である.待機例も含め,F術に到達した症例は,D術ではなかったのに対し,2 弁口化手術では 6 例(86%)であった.【まとめ】単心室に対する房室弁形成術において,共通房室弁に対する 2 弁口化手術の成績はDeVega術に比べて良好であった. |
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