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P-II-64 |
Short-coupled variant of torsades de pointesと考えられ,高周波カテーテルアブレーション(CA)を施行した 1 例 |
名古屋大学大学院発育加齢医学講座小児科学1),名古屋大学大学院病態内科学講座器官制御内科学2),あいち小児保健医療総合センター3)
大橋直樹1),安田東始哲1),木下知子1),因田恭也2),長嶋正實3) |
【はじめに】short-coupled variant of torsades de pointes(SCVTDP)はLeenhardtらにより提唱されたVTで,洞調律時の心電図でQT延長を認めず,torsades de pointes様の多形性VTを示す.頻拍中の心室拍数は180~300(平均238)bpm程度で,最大QRS波高は洞調律時のそれより高い.また,VTと先行するQRSとの連結期が245±28msecと非常に短く,高率にVfを来すことが特徴的である.治療では,verapamilが有効でβブロッカーが無効である.予後は不良で,torsades de pointes発症後 7 年間の死亡率は36%と報告されている.【症例】10歳男児.学校検診で,PVCを指摘され,トリプルマスター心電図にてPVC couplet(V-V interval 200~220msec)を認め,トレッドミル運動負荷心電図で負荷直後にnon sustained VT(triplet)を認めた.さらに,ホルター心電図上,運動時に多形性のnon sustained VT(max 5 連発),coupling interval 280msec,VT rate 300を認めた.洞調律の心電図でQT延長はなかった.心筋シンチのTl,BMIPP負荷で異常なく,胸部MRI施行しARVDの所見は認められなかった.プロタノール(ISP)による薬物負荷を施行し,同様なnon sustained VT(max 4 連発)が誘発され,verapamilの投与で停止を確認した.以上の結果より,SCVTDPと考え,verapamilの投与を開始した.検査でとらえられたnon sustained VTは常にRVOT起源のPVCがトリガーであると考えられたので,RVOT起源のPVCに対して高周波カテーテルアブレーション(CA)を試みる方針とした.ISP負荷で,RVのrapid pacingにて同様のVTが誘発され,RVOTの肺動脈弁よりやや低め中隔壁後方にCAを施行.施行後VTは消失した.同時に施行したCAGは正常であった.【結語】SCVTDPと考えられた症例にトリガーと考えられたRVOT起源のPVCに対してCAを施行し,有効であった.しかし,本当にSCVTDPならば予後は不良と考えられ,今後の再発に注意した経過観察が必要と思われる. |
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