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P-II-67 |
血管腫を合併する先天性心疾患 |
九州大学医学部小児科
古野憲司,金谷能明,弓削哲二,仮屋園秀彦,大野拓郎 |
【背景】皮膚血管腫に中枢神経系の異常を合併することは以前から報告されてきた.しかし,先天性心疾患に皮膚血管腫を合併することはまれとされ,最近になって報告が散見されるようになったものの,その詳細は明らかではない.【対象と方法】1992年 1 月から2003年 2 月の間に当科で心臓カテーテル検査を受けた先天性心疾患患者605人を対象とし,外来および入院診療録から皮膚血管腫を合併する症例を抽出し検討した.【結果】対象患者605人の中で皮膚血管腫を合併するものは 5 人でいずれも女児であった.症例 1 は大動脈縮窄症,症例 2 は心室中隔欠損症II型,症例 3・4 はファロー四徴症,症例 5 は二次孔欠損型心房中隔欠損症に合併していた.症例 1 は巨大血管腫を,症例 2~5 は心雑音を主訴に来院した.症例 1 は左中大脳動脈近位部の拡張屈曲,軽度の第二頸椎分離滑り症などの構造異常と精神運動発達遅滞(PMR),痙攣,視力障害を伴っており,また症例 2 は両側脳室の拡大と大脳半球白質にT2延長域を認め,軽度のPMRを呈しており,両症例はPHACE ASSOCIATION(posterior fossa brain malformation, large facial hemangiomas, arterial anomalies, cardiac anomalies and aortic coarctation, and eye abnormalities)であることが疑われた.症例 3~5 は他に合併する異常はなかった.症例 1~4 の血管腫は巨大または多発性で治療に難渋し,症例 3 では腫大した頸部血管腫による気管圧迫のため一時的に呼吸障害を伴うほどであった.【結語】先天性心疾患に皮膚血管腫を合併する頻度は0.8%であった.これらの血管腫は巨大または多発性で難治性であった.5 例中 4 例が心雑音を主訴に循環器外来を受診しており,血管腫を伴う先天性心疾患の場合,中枢神経系の異常を伴っている可能性を念頭に置いて精査し症例を蓄積する必要がある.また,過去の報告のごとく今回の 5 症例すべて女児でありX連鎖優性遺伝の可能性を示唆するものである. |
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