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Epoprostenol治療後に生体部分肺移植となった原発性肺高血圧症の 2 例
鹿児島大学医学部小児科1),岡山大学大学院医歯学総合研究科心臓血管外科2)
和田昭宏1),柳 貞光1),福重寿郎1),島子敦史1),河野幸春1),野村裕一1),吉永正夫1),河野嘉文1),伊達洋至2)

【症例 1】1998年 9 月(7 歳)に原発性高血圧症(PPH)の診断.PA圧86/50(65),CI(L/分/mm2)2.5.内服加療にても心拡大進行.1999年 4 月にepoprostenol(PGI2)持続静注開始し全身状態は著明に改善.しかし開始 6 カ月から次第に心不全悪化.PGI2増量ペースを上げるも改善せず,2001年 4 月肺移植待機登録.2001年 5 月90ng/kg/min投与下でPA圧85/40(59),CI 2.7.同月右生体部分肺移植施行.全身状態著明改善し経過良好.【症例 2】2000年 2 月(10歳)PPHの診断.RV圧126/14(EDP),CI 2.0.PGI2を開始し全身状態は著明改善.しかし開始 6 カ月ごろより次第に心不全悪化.2001年 3 月肺移植待機登録.PGI2増量ペースを上げるも改善せず,2002年 5 月PA圧111/49(67),CI 1.7.翌月両側生体部分肺移植施行.現在全身状態安定し経過良好.【考案】今回の両児はPGI2負荷試験上non-responderであったが,PGI2投与で全身状態が著明に改善した.しかしその効果は一時的で,状態の悪化傾向出現後はPGI2増量にても改善は困難だった.小児PPHは進行が速いため,PGI2投与中は常に移植への対応を念頭に置いた管理が必要である.特に状態把握に有用なCTR,LVDd,BNP等の悪化傾向がみられた場合は対応を急ぐ必要があると考えられた.

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