P-II-83
学童におけるLDL(低比重リポ蛋白)コレステロールの粒子サイズの検討
琉球大学医学部小児科
島袋忠雄,砂川 信

【はじめに】近年,食生活の欧米化に伴い小児においても肥満,高脂血症,高血圧などの生活習慣病が増加し,将来動脈硬化性疾患の増加が懸念されている.成人では動脈硬化と粒子サイズの小さな比重の重い(small dense)LDLとの関連が指摘されているが,小児における検討は少ない.【目的】学童における血清脂質値およびLDLの粒子サイズを測定し,学童期における動脈硬化のリスクファクターを検討する.【対象と方法】沖縄県内在住の427名の学童(男児256名,女児171名)のLDLの粒子サイズをポリアクリルゲルを用いた電気泳動法により測定し,血清脂質値およびアポ蛋白値とともに,肥満群,非肥満群において比較検討した.【結果】肥満群では総コレステロール,LDLが有意に高値で,HDLは有意に低値であった.LDLの粒子サイズは,肥満群,非肥満群でそれぞれ26.4±0.74nm,27.4±0.83nmで,肥満群において有意に低値であった(p < 0.01).【結論】動脈硬化のリスクファクターは学童期より存在し,今後生活習慣の指導等の早急な対策が必要と思われる.

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