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小児急性血液浄化療法の経験
群馬県立小児医療センター心臓血管外科1),群馬県立小児医療センター循環器科2),群馬大学医学部第二外科3)
鈴木政夫1),村上 淳1),小池則匡1),小林富男2),篠原 真2),小林 徹2),森下靖雄3)

【目的】急性血液浄化療法はnon-renal indicationでの有用性から成人領域で普及し,小児でも導入されてきている.今回は当施設で施行しえた19例の経験について報告する.【対象】1997年 4 月~2003年 1 月までにcontinuous hemodiafiltration(CHDF)を19例行い,ECMO施行が12例,CHDF単独が 7 例であった.年齢は日齢 0~13歳(新生児11例)で,体重は2.2~30kgであった.疾患の内訳は,重症型先天性横隔膜ヘルニア(CDH)7 例,開心術後ECMO症例 5 例,ductal shock 3 例(HLHS 2 例,IAA 1 例),Fontan術後SIRS 1 例,MVP後肺水腫 1 例,肺膿瘍 1 例,絨毛癌 1 例であった.【回路システムおよび施行条件】ECMOではヘパリンコーティングされたECMO回路の脱血側に並列にCDHF回路を併設した.CHDF単独では,新生児のブラッドアクセスに中心静脈栄養ダブルルーメンカテーテル15Frを,他は 1 例を除き透析用ダブルルーメンカテーテル 7Fr,9Frを体重により使用した.全例抗凝固剤はフサンを用いた.【結果】CHDF施行期間は平均4.6日(0.5~12日)で,救命率はECMO例が33%(開心術後例 1 例,CDH 1 例),CHDF単独が57%(SIRS 1 例,MVP 1 例,CDH 1 例,絨毛癌 1 例)であった.合併症は,CHDF単独例で静脈血栓症 2 例,肺梗塞が 1 例,頭蓋内出血 1 例,肺出血 2 例を認め,ECMO施行の開心術後症例では送血部からの出血に対して 4 例で止血術を行い,他の 4 例で脱血不良に対する処置を要した.【まとめ】急性血液浄化療法としてCHDFは体重 2kg以上の新生児から安全に施行可能であり,19例中 8 例を救命できた.小児急性血液浄化療法の適応疾患および導入基準はいまだ明確でないが,個々の病態に応じて適時導入することで重症臓器障害例の救命に寄与するものと考える.

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