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B-III-3 |
心機能および弁機能から見たRoss手術の検討 |
福岡市立こども病院心臓血管外科1),福岡市立こども病院循環器科2)
崔 禎浩1),角 秀秋1),塩川祐一1),深江宏治1),田ノ上禎久1),帯刀英樹1),石川司朗1, 2),總崎直樹2),佐川浩一2),牛ノ濱大也2) |
【目的】Ross手術は小児大動脈弁疾患に対しても広く行われるようになってきたがその手術成績で重要なのは左心機能の改善と右心機能の維持であると考えられる.これらの点に注目しRoss手術施行例の遠隔成績,両心機能および弁機能に関して検討を加えた.【方法】対象は1998年 9 月~2003年 1 月までの19例で年齢は中央値12歳(6 カ月~22歳),診断はAS 6 例,ASR 10例,AR 3 例であった.術前肺動脈弁輪径は12~27mm(89.6~156.8% of N)で,大動脈弁輪拡大を 7 例に同時施行した.右室流出路再建には 1 例を除き0.1mm EPTFEシートを内腔に逢着した 3 弁付き人工血管(20~28mm)を用いた.術前後の心機能評価としてEDV,EDP,LVEF,LVDd,左室心筋後壁厚について,さらに遠隔期を含めた両動脈弁機能も検討した.【結果】手術,遠隔死亡はなかった.LVEDV,RVEDV(% of N)は術前後で減少傾向が認められLVEDPは有意に減少していた.左室心筋厚は遠隔期に減少傾向はあるが有意差は認めなかった.LVDdでは術後で減少傾向が認められたが遠隔期での差は認められなかった.退院前心臓カテーテル検査では全例でグラフトの弁の可動性は保たれており,PRは1.5度 1 例,1 度 2 例,0.5度 1 例のみであった.術後右室収縮期圧は36.0±5.6(前27.9,p < 0.01)mmHg,肺動脈圧は25.9±8.4(前24.6)mmHgで人工血管前後に20mmHg以上の圧較差を認めた症例は25mmHgの 1 例のみであった.外来時心エコー(術後平均25.3カ月)ではARは平均0.53(2 度 1 例のみ),PRは全例 1 度以下で,人工血管前後の圧較差は平均9.6mmHgであった.新大動脈弁輪径は術前後,遠隔期で96.5,101.3,92.3(% of N)と有意差なく成長が伺われた.【結語】術後左室機能は有意に改善し新大動脈弁機能も良好に保たれ成長も期待できることが示唆された.右室再建術式として3弁付き人工血管は有用で現時点では右室機能は維持されほぼ満足すべき成績であるがその評価にはさらなる遠隔期の観察が必要である. |
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