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B-III-8 |
肺高血圧を伴う乳児心室中隔欠損例に対する100%酸素負荷による肺血管抵抗の変化─ダウン症候群,非ダウン症候群の比較─ |
東京都立清瀬小児病院循環器科
葭葉茂樹,大木寛生,菅谷明則,佐藤正昭 |
【目的】肺高血圧(PH)を伴う心室中隔欠損(VSD)例で,100%酸素負荷を行い肺血管抵抗(Rp)の変化を評価することは治療方針決定のために重要である.しかし肺血管閉塞性病変の進行が早い乳児ダウン症候群(DS)に対する100%酸素負荷後のRp変化についての報告はない.当院で経験した症例を後方視的に検討し考察を行った.【対象】1992年 1 月~2002年12月に当院で100%酸素負荷を含めた心臓カテーテル検査を行ったPHを伴うVSD 37例.(ダウン症候群(DS)13例;月齢 4~24,中央値 6,非ダウン症候群(nDS)24例;月齢 3~24,中央値 6)【方法】心臓カテーテル検査結果から100%酸素負荷前後の平均肺動脈圧(mPAP),肺血管抵抗(Rp),酸素負荷後肺血管抵抗 / 肺血管抵抗(RpO2/Rp),肺血管抵抗 - 酸素負荷後肺血管抵抗 / 肺血管抵抗(Rp - RpO2/Rp),を算出し各変数につきDS群とnDS群でMann-Whitney検定を用い比較した.【成績】1)DS群,nDS群ともに心臓カテーテル検査を行った月齢と各変数に相関はなかった.2)DS群で酸素負荷後にmPAPは改善傾向を認めたが正常化した例はなかった.3)DS群,nDS群のRp(3.52±0.45,2.93±0.32,p = 0.13)に有意差はなかったが,RpO2(1.31±0.21,0.49±0.09,p < 0.01)に有意差を認めた.4)DS群,nDS群のRpO2/Rp(0.40±0.06,0.18±0.03,p < 0.01),Rp - RpO2/Rp(0.59±0.06,0.81±0.03,p < 0.01)に有意差を認めた.【結論】PHを伴うVSDを有するDSのRpO2はnDSより高い傾向にあった.DSのPHは100%酸素負荷による反応が悪く,nDSに比し肺血管収縮より肺血管閉塞性病変の進行による割合が多いためと考えられた. |
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