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D-III-3 |
成人期に達したエプスタイン奇形 |
天理よろづ相談所病院小児循環器科1),天理よろづ相談所病院心臓血管外科2)
松村正彦1),須田憲治1),田村時緒1),杉田隆彰2),松本雅彦2) |
【背景】エプスタイン奇形は,全先天性心疾患の約0.5%を占める比較的まれな心疾患である.1 施設での症例が少なく,その臨床経過については不明な点が多く,国内でのまとまった報告は少ない.【目的】成人期のエプスタイン奇形の臨床像を明らかにすること.【対象】1967年から2002年までの35年間に受診したエプスタイン奇形55例のうち,カルテが追跡可能で18歳以上まで生存が確認された24例.男性13例,女性11例.年齢は18~70歳(中央値31歳).観察期間は 1 ~31年(平均14±9 年).【結果】(1)初発時期:20例(83%)は小児期の検診で心雑音や心電図異常で気付かれていた.うち 7 例は小児期に心疾患の存在を指摘されたものの放置していて,成人になって症状が発現して来院した.検診内容が明らかなものは13例(54%)で,乳幼児期は心雑音で,学齢以降は心電図異常であった.(2)手術:9 例(38%)に施行.三尖弁人工弁置換術 5 例(中央値48歳).三尖弁形成術 2 例(9 歳,15歳).グレン手術 1 例.心房中隔欠損閉鎖術 1 例.(3)心電図異常:11例(46%).WPW症候群B型 5 例.発作性上室性頻拍 6 例.心房細動 3 例.心室性期外収縮 + 房室解離 1 例.心室頻拍 1 例.左軸偏位 1 例.(4)三尖弁閉鎖不全:1 度15例.2 度 6 例.3 度 3 例.(5)NYHA 1 度11例.NYHA 2 度12例.20代は 9/11(82%)がNYHA 1 度であるが,30代以降は10/12(83%)がNYHA 2 度であった.(6)死亡:1 例(不整脈).(7)出産:既婚女性 5 例中 4 例 6 回あり,うち 1 例は出産後一時的にショックに陥った.【結論】(1)乳幼児期ないしは学校検診で心疾患を指摘されたものが20/24(83%)と多かった.(2)心電図異常を11/24(43%)に認めた.(3)三尖弁閉鎖不全に対して,人工弁置換術は 5 例で形成術(2 例)よりも多く,手術時年齢も高かった.(4)NYHAは30代以降低下傾向であった. |
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