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B-I-4 |
川崎病血管障害発現におけるMMP-9 の関与―川崎病類似血管炎モデルにおけるMMP-9 の局所発現と動態― |
京都府立医科大学大学院医学研究科発達循環病態学
小澤誠一郎,坂田耕一,白石 公,濱岡建城 |
【背景・目的】川崎病血管障害の発現には各種コラーゲン分解に関わるmatrix metalloproteinase(MMPs)の関与が重要である.特に,血管基底膜の主構成成分であるIV型コラーゲンを分解するMMP-9 は血管構造破壊の中心的役割を果たしていると考えられ,その動態を明らかすることは川崎病血管障害の発現機序解明のために不可欠であると考えられる.そこで今回,血管炎動物モデルを用いて急性期血管炎におけるMMP-9 の局所発現とその動態を検討した.【方法】日本白色系イエウサギにウマ血清を 2 回/2 週で投与.1,3,7,14,28日に屠殺し各臓器を採取.冠動脈組織にH-E染色,EVG染色,免疫組織染色(IHC),およびin situ hybridization法(ISH)を行い,病理組織ならびにMMP-9 蛋白・mRNAの発現を検討した.さらに,MMP阻害薬(ONO-4817)を 2 回目のウマ血清投与前日より屠殺まで連日投与し,上記と同様の検討を行った.【結果】(1)1 日目より中膜を中心とする浮腫状の血管壁肥厚と単核球細胞の浸潤を認め,壁肥厚は 7 日目をピーク(血管壁厚/血管径:66.3%)に,14日目(32.8%)には消退傾向を認めた.(2)IHCにて 1 日目よりMMP-9 蛋白の発現を冠動脈内膜,外膜さらに冠動脈周囲の心筋細胞に認めた.(3)ISHにて 1 日目は内膜にのみ,3,7 日目には内膜,外膜にMMP-9mRNAの発現を認めた.(4)肺および腎臓の血管においても 1 日目より内膜にMMP-9mRNAの発現を認め,7 日目まで持続した.(5)MMP阻害薬投与によって,血管壁厚/血管径は 3 日目で26.0%,7 日目40.8%,14日目18.5%と,血管壁肥厚は有意に抑制された.【考察】血管内皮細胞由来のMMP-9 は,血管炎の発症直後(1 日目)より発現し,川崎病血管炎の病態形成に大きく関与している可能性が示唆された. |
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