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C-I-28 |
塩酸オルプリノンが乳児期左室容量負荷疾患の冠循環動態に与える影響 |
秋田大学医学部小児科
田村真通,原田健二,豊野学朋,石井治佳,青木三枝子 |
【背景】ホスホジエステラーゼIII選択的阻害剤である塩酸オルプリノンの急性心不全病態改善作用として心収縮力増強,心拍出量増加,後負荷および前負荷の減少が示されているが,冠循環動態に与える影響についての研究は少ない.【目的】塩酸オルプリノンが乳児期左室容量負荷疾患の冠循環動態に与える影響を検討すること.【方法】肺高血圧を伴う心室中隔欠損 6 例(検査時年齢2.6~9.7月:中央値4.0月,体重3.9~7.2kg:中央値5.0kg)を対象に,塩酸オルプリノン持続静注時の冠循環動態を検討した.経胸壁心エコー検査法を用い左冠動脈前下降枝(LAD)の内径および時間速度積分値を測定し,同部位の血流量(FV)を得た.冠動脈血管抵抗(Rd)は拡張期血圧をFVで除して得た.また平均心筋円周短縮速度(mVcf)を求めた.投与量変更後15分から測定を開始し,3 から 5 心拍の値を平均し計測値とした.【結果】投与前,0.1,0.2,0.3μg/kg/min時の計測値を平均(SD)で順に示す.LAD径は1.5mm(0.2),1.8(0.2),1.6(0.2),1.6(0.2)と0.1μg/kg/minで最大27.2%(7.2)の拡張を見た後に縮小傾向を示したが,いずれも安静時より有意に増加していた.FVは18.6ml/min(5.7),24.6(6.0),24.3(5.6),25.0(6.6)と初期量で有意に増加しその後変化しなかった.最大増加率は35.6%(9.0)であった.Rdは2.78mmHg/ml/min(0.64),2.02(0.37),2.02(0.57),1.98(0.52)と初期量で有意に低下し,最大減少率は29.2%(3.7)であった.mVcfは2.05circ/s(0.20),2.05(0.22),2.21(0.22),2.36(0.15)と0.2μg/kg/min以後容量依存性に最大16.0%(6.8)の増加を示した.血圧や心拍数には有意の変化を認めなかった.【結論】本剤の少量投与は心収縮力に影響せずにFVを増加させるのに対し,中等量以上ではFVを安静時以上のレベルに維持したまま心収縮力を増強させる.その機序としてRdの低下が関与していると考えられる. |
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