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D-I-5 |
フォリスタチン様タンパクFLRGは心筋前駆細胞の分化を決定する因子か? |
徳島大学医学部小児科1),徳島大学分子酵素学研究センター分子細胞学部門2)
嵩原由華1, 2),土田邦博2),森 一博1),杉野 弘2),黒田泰弘1) |
【背景・目的】フォリスタチン(FS)はTGF-β superfamilyに属するactivinと細胞外で結合し,activin受容体への結合を阻害してその活性を抑制する.われわれはすでに,FS様タンパクFLRG(follistatin-related gene)が,activinと同じTGF-β superfamilyに属し骨格筋細胞の増殖を負に制御するmyostatin (MSTN)にも結合することを報告した.FLRGは成獣心筋で高発現するが,骨格筋での発現は低かったことから,心筋において特異的な役割を担うことが推察された.今回,FLRGが心筋特異的に発現する意義を検討した.【方法】ICRマウス胎仔(E10.5~14.5)および新生仔の心臓,骨格筋よりRNAを抽出し,半定量RT-PCRおよびreal time定量PCR法でFLRG,MSTNの発現の増減を調べた.またP19CL6細胞を1% DMSO処理にて心筋細胞へ分化誘導し,同様にFLRGの発現の変化を追跡した.【結果】心筋では胎仔期からFLRG mRNAの発現が高く,出生後も維持されるのに対し,MSTN mRNAは胎仔期のみ高発現し,出生とともに発現量が著減した.一方,骨格筋では出生とともにMSTNの発現量が増加し,FLRGの発現は低下した.心筋細胞化したP19CL6細胞では,自律拍動開始前よりFLRGの発現を認め,その発現は拍動後も維持されるのに対し,MSTNは拍動開始を境としてその発現量が急増した.【考察】以上の結果から,筋肉細胞の増殖を抑制するMSTNとその活性を制御するFLRGのmRNAの発現パターンが心筋と骨格筋では全く逆であることが判明した.また拍動を開始する前の心筋前駆細胞でもすでにFLRGが発現していることが予想された.このことは,FLRGが心筋前駆細胞の分化を決定する一因子である可能性を示唆している. |
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