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D-I-8 |
活性酸素のスカベンジャーであるエダラボンはdaunorubicin誘導による心筋細胞のapoptosisを阻害する |
日本医科大学小児科
池上 英,深澤隆治,松本多絵,初鹿野見春,渡辺美紀,内木場庸子,大久保隆志,上砂光裕,勝部康弘,小川俊一 |
【背景】anthracycline系薬剤(Ant)は優れた抗癌剤であるが,その心毒性のため使用は制限されている.Antの心毒性は酸化還元反応によるフリーラディカルを介するものであり,心筋細胞の脆弱な抗酸化特性から心毒性が発現するものと考えられている.一方,エダラボンは活性酸素のスカベンジャーとして開発され,現在日本において急性期の脳梗塞に対して臨床的使用が認められている.われわれは酸化スカベンジャーであるエダラボンがAntによる心筋の酸化還元反応を抑制し,apoptosisを抑制する効果があるのではないかと仮説を立て検証した.【方法】ラット新生仔培養心筋細胞に対し,daunorubicin(DR)1,10μM,およびエダラボン100μMを添加し,心筋細胞のapoptosisをDNA laddering検出法,TUNEL法で評価した.【結果】DR 1μM添加 8 時間で心筋細胞に著明なDNA ladderingを生じたが,DR 10μMでは微細なDNA ladderingしか生じなかった.さらに,DR添加16時間後のTUNEL染色陽性細胞は,コントロール,DR 1μM,DR1μM + エダラボン100μM,DR 10μMでそれぞれ,2.6±0.5,13.8±1.2,6.1±0.3,6.9±0.5%であり,エダラボンが有意にDRによるapoptosisを抑制していた(p < 0.001).【結語】エダラボンはDRによるapoptosisを有意に抑制しており,Ant系薬剤心毒性抑制の臨床応用に期待される. |
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