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D-I-14 |
先天性心疾患の同胞内再発生頻度 |
榊原記念病院小児科
森 克彦,嘉川忠博,畠井芳穂,西山光則,朴 仁三,石橋奈保子,小林賢司,村上保夫,三森重和,高尾篤良 |
【背景】先天性心疾患(CHD)の出生頻度は,0.69~1.17%といわれている.染色体異常,単一遺伝子病,風疹症候群に伴う心疾患を除いて大部分のCHDは成因診断が現在のところ不明である.成因診断が不明なCHDのなかにも重積する家系がみられる.診断技術や治療の進歩によって重症CHDの循環器専門病院受診が増加したこと,少子化などによる最近のCHD例と,1950年から1970年に報告された同胞内再発生頻度に相違があるか否かを検討した.【対象】1989年以降に出生し榊原記念病院に入院,家族歴が十分聴取できた成因診断が不明なCHD 1,034例を対象とした.染色体異常(213例),単一遺伝子病,風疹症候群に伴う心疾患は対象から除いた.【結果】同胞内での再発症例を実測した.CHD,1,034例の本人を除いた同胞数は820名であった.820名のうち23名にCHDの発症がみられ,同胞内再発生実測値は2.80%であった.過去に報告された,同胞内再発生頻度1.47~3.40%と有意の差はなかった.疾患別の再発生実測値は,心室中隔欠損 8/224(3.6%),心房中隔欠損 4/132(3.1%),ファロー四徴 2/82(2.7%),内臓錯位心 1/37(2.7%),心内膜床欠損 1/29(3.4%),大動脈縮窄 1/25(4.0%),総肺静脈還流異常 3/23(13.0%),動脈管開存 1/4(25.0%)であった.再発生した同胞の疾患の66%が発端者と同一疾患であった.【結語】1950~1970年に報告された同胞内再発生頻度と最近の症例での頻度を比較した.双方に有意の差はなく,成因診断が不明なCHDは多因子遺伝の閾値説に妥当な遺伝様式を呈していた. |
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